社内の雰囲気が悪い理由は――アトラエの新サービス「wevox」は社員のエンゲージメントを可視化する

なんとなくチームの雰囲気が良くない、あるいは隣の部署は調子が良さそう。会社働いていると、そういった社員やチームのモチベーションや人間関係の状態は肌感覚としては分かるだろう。最近は人事評価のクラウドサービスなどは増えてきたが、こうした社員の主観的な気持ちに焦点を当てるサービスは少なかったかもしれない。

人材サービスを提供するアトラエの新サービス「wevox」は定期的なサーベイを実施することで、社員の仕事や会社とのエンゲージメントを数値化しようとしている。

wevoxを使うにはまず社員のデータをエクセルなどでアップロードする。登録した社員には定期的に同僚との関係、上司との関係、承認・関心、健康、自己成長、理念/戦略/事業、職務といった項目に関するサーベイが届く。これらの項目には社員のエンゲージメントにおける学術的な裏付けがあるという。サーベイを実施する頻度は週1回、月2回などが選べる。

wevoxのサーベイは個人ごとではなく、チームごとの平均を算出する仕組みだ。年次や役職ごとで属性を切ってデータを確認することもできる。

wevoxのサーベイの集計結果

 

集計結果の画面で組織全体のエンゲージメントを一目で確認できる。状態が良いところほど青く、問題があると赤くなる。これで、例えば「同僚との人間関係」の項目が赤くなっていたのなら、社員同士のコミュニケーションを活性化するといった対策が取れるだろう。継続的にデータをトラックすることで、実施した対策に効果があったかどうかも確認できる。

社員のエンゲージメントを高める意味

アトラエはこれまで人材採用のサービスを提供してきたが、組織の成長には採用だけでなく、採用した人材の定着や離職防止も重要と考えてきたとwevoxの担当を務める森山雄貴氏は説明する。その点について企業にヒアリングしたところ、「漠然と組織に課題があることは認識しているけれど、具体的に何が問題か特定できていない」という声があったという。

「スターバックスなどの企業は社員のエンゲージメントを重要視しています。それが会社の業績の向上にもつながるからです。wevoxはこれまで感覚値でしかわからなかった社員のエンゲージメントを定量化します」。

エンゲージメントについてのサービスというと社員の負担になりそうだが、wevoxのサーベイはメールやslackで通知し、スマホから1、2分で回答できるように設計しているそうだ。

質問の内容は浅くとも、頻度を高くサーベイを実施することに重点を置いていると森山氏は話す。エンゲージメントの調査を年に1回だけ実施するだけでは足りないことが多い。特にビジネスの変化が早いインターネット企業などでは3ヶ月でも状況が一変していることもある。wevoxは社員のモチベーションの低下や離職が起きる前に組織課題を特定し、手が打てるようにしたい考えだ。

wevoxは社員1人あたり月額300円で提供する。すでにwevoxはベータ版を提供していて、これまでに50社以上の利用があったそうだ。

wevoxでは、組織課題を解決するためのコンサルティングサービスも提供している。今後は自社のサービスに限らず、課題に応じて適切なスペシャリストや他社サービスの提案も行っていきたいと話す。ゆくゆくはAPIで、例えば人事労務や人事評価などのクラウドサービスとも連携できるようにしたい考えだと話している。

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TechCrunch Japan

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