社員エンゲージメント分析ツールの「BetterEngage」を提供する日本のBtoAは6月30日、同サービスのβ版を公開したと発表した。BetterEngageは、Slackなどのコミュニケーションツールから得たデータを解析し、従業員の「エンゲージメント」を可視化するサービスだ。
BetterEngageを利用するにはまず、SmartHRなどからエクスポートできるCSV形式の従業員データを同サービスに取り込む。BetterEngageはCSVファイルの独自フォーマットも用意しているので、必ずしも他社のHR系サービスを利用している必要はない。
その後、Slackのメッセージ履歴(JSONファイル)をエクスポートし、それを月に1回ほどの頻度でBetterEngageに取り込むことで、従業員のエンゲージメントを自動で解析できる。Slack側で設定すれば、JSONファイルのエクスポートを完全に自動化することも可能だ。
プライバシーの関係上、BetterEngageが従業員同士の”好き嫌い”などを判断することはなく、プライベートチャットの内容を解析することもない。あくまでもエンゲージメントを数値化することが目的のため、取り込まれたメッセージ履歴を人事担当者などが閲覧することもできない。
現在、BetterEngageが実用レベルで解析できるのはSlackから得たコミュニケーションデータだけだが、将来的にはこれに加えて、勤怠、パフォーマンス、同僚からの評価、従業員の経歴などのデータをAPI連携によって取得・解析していくようだ。なかでも、jinjerやIEYASUなどから取得できる勤怠データの解析は、2017年10月に予定されている正式リリースまでに実装するという。
BtoA代表の石原史章氏によれば、BetterEngageのターゲットは「従業員が100人程度いて、専任の人事担当者をもつ企業」だという。正式リリース後の料金設定はまだ確定していないものの、従業員1人につき500〜800円程度の月額課金を想定している。
60人のチームから毎月5人の退職者
石原氏は、遠隔医療サービスなどを手がけるポート出身の人物。彼はそこでキュレーション・メディアのマネジメントを行っていた。しかし、総勢60人のチームであったにもかかわらず、毎月5人ほどの退職者が続出するという問題に直面したことがBtoA創業のきっかけだったという。「その経験から、部下と対面して会話をすることの重要性を知った。だからこそ、時間のかかるエンゲージメント分析を自動化し、対話にフォーカスできる環境をつくりたいと思った」(石原氏)
2015年10月に創業したBtoAは、これまでにサムライインキュベートから資金調達を実施している。石原氏はこのときの調達金額が450万円であったことを今回の取材でTechCrunch Japanに明らかにした。また、同社はY Combinatorのオンラインプログラムに参加中だ。