神戸市がスタートアップとの協働で年間5000時間超のリモートワークを推進、5年で4億円超のコスト削減を目指す

神戸市は8月26日、Honeycomeモンスター・ラボママスクエアのスタートアップ3社と協働し、教育委員会における職員の給与支給業務の効率化の研究結果などを発表した。

これまで給与支給業務では、職員が紙の書類を提出し、給与支給部署の担当者が届いた紙書類を1枚1枚点検して手当の金額を決定するという方法で処理されてきた。また、給与システムで計算した給与データの誤り点検は、出力したデータをPC上のエクセルを使って人間が目視点検するという方法だったという。

前述の4者の協働研究の結果、現在では明らかに非効率な同市の給与支給業務を刷新することを決定した。届出から手当の決定までをインターネット上で処理できるシステムを開発。紙ベースだった給与関係の届出書類を電子化してネット申請可能にし、書類の受付・入力などの業務を削減したという。さらに届出の提出件数や処理状況をBIツールを活用して可視化した。

給与データの誤り点検については、電子化した届出のデータをRPAやAIを活用して業務の自動化を進めた。なお、通勤手当・住宅手当の決定事務の効率化についてはモンスター・ラボ、給与システムの刷新についてはHoneycome、届出システムの構築・ワークライフバランスの推進についてはHoneycomeとママスクエアがそれぞれ担当した。

神戸市によると上記のワークフローの導入によって、ネット経由で処理が可能になり、職員の在宅勤務化(対象職員計年5000時間超)やワークシェアが実現できたそうだ。また自動化による業務時間削減効果は年間で6000時間超と見積もっている。費用削減効果は、5年間で4億円という試算だ。

今後のスケジュールとしては、市役所の教職員課とスタートアップでスクラム開発を続け、今年度中にテストを兼ねて実戦投入する。その後、2021年度の予算化、本格導入に向けて、システムや業務、セキュリティなどについて調整を進めるとのこと。

なお、今回協働したスタートアップ3社は、神戸市が地域課題解決プロジェクトとして昨年立ち上げた「Urban Innovation KOBE」(現在はUrban Innovation JAPAN)で「給与支給に関する事務改善の取り組み」に応募した中から選ばれた。同プロジェクトの採択案件については、開発されたアプリやシステムを神戸市が随意契約できる制度を活用して調達する予定だ。もちろん実際には、審査会に申請するかたちとなる。

Honeycomeは2017年8月設立のスタートアップ。ITシステムの構築・運用、インターネットを利用した各種情報提供・情報処理サービス、コンサルティング事業を手掛けている。

モンスター・ラボは、2006年2月設立の企業で、デジタルコンサルティング事業、RPAツールや店舗向けオーダーシステムなどプロダクト事業を展開している。

ママスクエアは、2014年12月のスタートアップ。託児付きワーキングスペースの運営・展開、コールセンター、バックオフィス、マーケティングリサーチ業、保育、託児施設の運営など行っている。

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TechCrunch Japan

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