神戸市が国内eスポーツ普及を推進、シニアの健康管理にも活用へ

神戸市は7月17日、西日本電信電話兵庫支店、PACkageと共同で「withコロナ時代におけるeスポーツによる地域課題解決に向けた連携協定」を提携したことを発表した。eスポーツが新たなコミュニケーションやビジネスの手法としてなり得るのかどうかの可能性を探り、地域課題解決・産業振興につなげるのが狙いだ。PACkageは、2018年2月設立の学生ベンチャー企業で、国内外のコミュニティや教育機関と連携した教育、イベント、eスポーツに関する理解促進活動を進めている。

具体的な活動としては、eスポーツに関するウェブセミナーの開催、eスポーツを利用した高齢者や子供向けの実証実験、コミュニティの醸成、動画配信などの事業を展開していく。

ウェブセミナーは2020年秋に第1回を開催し、計3回を予定している。実証実験については、スマートウォッチなどのウェアラブルデバイスや睡眠中にも使えるマット型センサーなどを活用してシニアのバイタルデータを取得し、健康管理に利用する。シニア向けのeスポーツコンテンツとしては、将棋や囲碁、ぷよぷよなどのパズルゲームを想定している。

コミュニティの醸成については、PACKageが企画するものを含めた関連イベントと連携する。第1弾としてPACkageが参加する実行委員会が開催予定の「レインボーシックスシージ大学対抗戦 powered by AORUS」に神戸市が後援することが決まっている。動画配信については、開催予定のウェブセミナーや実証事業などの取り組みの様子、市内で活躍するeスポーツ関わる学生や市民などへのインタビューをまとめたものをコンテンツとして提供する予定だ。

また今回のプロジェクトには、上新電機や兵庫県eスポーツ連合、ISRパーソネルが協賛企業として参画。上新電機は2020年2月にジョーシン三宮1ばん館9階に「eSportsアリーナ三宮」を開設。同アリーナは、プロeスポーツチーム「SIRIUS GAMING」がホームとして使っている場所だ。

兵庫県eスポーツ連合は、日本eスポーツ連合兵庫県支部で、県下のeスポーツ振興・促進をサポート。これまでに、国体兵庫県代表戦やプレ大会などを開催してきた実績を持つ。ISRパーソネルは、2020年7月に高齢者向けeスポーツ施設「ISR e-Sports」をオープン。会員資格を60歳以上に設定し、ゲームの始め方やプレイ補助を通して安心してeスポーツを体験でき、健康的なゲームライフを送ることができる環境づくりを進めている。

eスポーツと聞くと、FortniteやLeague of Legends、Overwatch、ストリートファイターVなど激しいコンテンツを思い浮かべてしまうが、今回神戸市がやろうとしているのはプロゲーマーの育成ではなく、シニアのITリテラシーの強化、PCを利用したQOLの向上などの課題を解決するのが主な目的。将来的には、eスポーツの振興による競技人口の増加やゲームクリエイターなどの関連事業への人材輩出、スタートアップ支援などにつなげたい考えだ。

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TechCrunch Japan

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