最近Tech系のメディアに限らず、新聞やニュースでもIoTというキーワードを頻繁に目にするようになってきた。IoT市場は2015年の5200億円から2022年には3.2兆円までにも拡大するという調査もあり、多くの企業から注目を集めている。今回紹介する福岡発のスタートアップ・スカイディスクもIoTソリューションを用いて企業が抱える課題解決に取り組んでいる1社だ。
2016年の1月にTechCrunchでも一度紹介しているが、同社はこれまで「センサーデバイス開発」「通信システム」「データ蓄積クラウドサービス」「AI分析・学習モデル」とIoT機器を利用し、取得したデータを業務に活用するためのサービスをワンストップで提供してきた。そして本日4月13日、AI 分析の部分のみを切り出し「SkyAI(スカイエーアイ)」としてローンチした。
設備機器のデータを故障の原因を事前に検知
SkyAIは工場や施設で取得された設備機器のデータをAIで解析することによって、故障につながる症状を予見できるサービス。すでに電力供給施設で活用されているという。
この施設の場合はまず「振動」や「音」といった時間によって変化する時系列データをセンサーで収集し、モーターやポンプの稼働状況をデータ化。データ整形プログラムにより整形データへと変換し、機器の異常や故障の予兆となる変化を検知するAI実運用モデルを生成。データを蓄積していくことで、油切れやすべり軸受の傷の発見に役立てている。
スカイディスクの担当者によると、「これまでであれば人力で機器の状態を確認しなければならずコストがかかっていたことに加え、いざ故障してしまった際にも故障の原因を特定するのに苦労し、対応に時間がかかっていることがあった」という。大規模な工場だと機器の故障で生産ラインを一時的に止めるとなると億単位の損失につながることもあるそう。AIを活用することで事前に故障を予知し回避することだけでなく、実際に故障してしまった際にも迅速に対応できるのであればニーズがありそうだ。
これまではIoTサービスとしてセンサーやクラウドとともに提供してきたが「すでに自社で保有しているデータを分析し効果的に使いたい」という要望を受け、今回AI分析のみを切り離して単体で提供する運びとなった。今後は工場や製造現場、ビルやマンションなどの不動産施設を中心に、幅広い業界への展開を目指している。
なおスカイディスクは2013年10月に設立された福岡市に本拠地を置くスタートアップ。2016年1月にはニッセイ・キャピタル、アーキタイプベンチャーズ、ドーガンが運営するファンドから総額1億円を調達している。