Peter Thiel(ピーター・ティエル)氏が共同設立した秘密のビッグデータとアナリティクスのスタートアップであるPalantirは、米国時間7月6日午後にこれまた秘密裏に上場申請の書類を米国証券取引委員会に提出した。
同社の発表声明は「上場はSECの審査が終わった後、市場などの状況次第で行われるものと思われる」と簡潔なものだった。
Palantirは上場予定日や発行株数、IPOの株価幅といった情報は何も提供していない。IPOを秘密申請することで企業は、財務数値や潜在的なリスクなどの内情がわかってしまう従来のIPO申請の仕組みを回避することができる。さらに上場のための初期段階でマスコミなどに詮索されることなく探究できる。この戦略はSpotifyやSlack、Uberなどでも採用されているが、秘密書類は必ずしもIPOにはつながるわけではない。
Palantirのスポークスパーソンは、上記以上のコメントを拒否している。
Palantirはシリコンバレーで最も秘密性の強い企業の1つで、主に米国政府と諜報関連部門にビッグデータとアナリティクスを提供している。その業務の多くは、プライバシーや人権関連の活動家からの物議を醸し出してきた。例えばいくつかの調査によると、同社のデータマイニングソフトウェアが移民のプロフィール作成に利用され(未訳記事)、その結果としてICE(移民税関捜査局)が国外退去の取り組みを支援した。
新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的な流行にともないPalantirは、同社のビッグデータ技術でウイルスや感染者の追跡ができると売り込んでいる。
先週Palantirは4年間で初めてのフォームDを申請し、9億6100万ドル(約1030億円)を調達していることを発表した。その提出文書によると5億5000万ドル(約590億円)は調達済みで、残りの割当に対する資本のコミットメントも確保されているという。
本日のニュースによれば、キャッシュの調達は同社の上場意思にとって補完的なもののようだ。ある記事では、同社の評価額を260億ドル(約2兆8000億円)と推計している(CNBC記事)。
Palantirの申請は、多くの企業の申請が新型コロナウイルスで凍結しているにもかかわらず、IPOの市場が再び熱を帯び始めていることの例の1つだ。先週は保険プロバイダーのLemonadeが好成績で公開市場にデビューした(未訳記事)。ヘルスケアのAccoladeも同様に予想より多くの株を売った(PR Newswireリリース)。
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