AIとIoTを活用した空席情報配信サービスのバカンは6月11日、NTT東日本、清水建設、ティーガイア、JR 東日本スタートアップ、スクラムベンチャーズを引受先とする第三者割当増資により、7.9億円を調達したと発表。
2016年6月設立のバカンは2016年10月にトイレ空席検索サービス「Throne」、2018年1月に空席検索プラットフォーム「VACAN」のサービス提供を開始。
VACANはレストランなどの混雑状況をセンサーやカメラを使って解析し、電子看板やスマホに表示するサービスだ。
バカン代表取締役の河野剛進氏いわく、Throneは今後、VACANとして提供されるようになる予定。同社は他にもスマホやPCから事前決済しキャッシュレスで弁当を受け取れる「QUIPPA」を提供している。
JR東日本の子会社でCVCのJR東日本スタートアップも同日、バカンとの資本業務提携を発表している。「駅ナカの飲食店やトイレの混雑解消に向けて」の協業となるが、河野氏いわく、具体的な内容はまだ決まっていない。だが、現在はアトレヴィ大塚とアトレヴィ巣鴨にVACANが導入されており、「今後、更に拡大していく予定だ」と話した。
JR東日本スタートアップ代表取締役社長、柴田裕氏は「これまで駅商業施設やトイレの行列の見える化に挑戦してきました。資本提携により、バカンの技術の進展とお客様サービスの向上が実現することを期待します」とコメントしている。
NTT東日本は「IoTやAIを活用した空席検知による『施設やオフィスビルのスマートビルディング化』の実現に向けた開発・マーケティング機能などの強化」が出資目的だと説明。NTT東日本が持つネットワーク基盤などとバカンのサービスとの連携を強化していくことで、 「トイレや飲食店・オフィスビルなどの空席検知による新たな顧客体験を創出」し、「社会に広げる為の協業を推進」していく。
4月3日に成田国際空港に開設されたトイレ「experience TOTO」には、NTT東日本、バカンとTOTOの連携により、専用タブレットリモコンおよび混雑状況表示サービスが導入されている。
また、5月に川崎市で開催された「サイバスロン車いすシリーズ日本2019」においてNTT東日本が提供したICTソリューションには、バカンのThroneが採用された。
調達した資金をもとに、VACANは開発体制・営業体制を強化、マーケティングに積極投資し、採用を強化する。同社は5月、初の海外現地法人の「空探科技(上海)有限公司」を中国に設立し、事業を開始したと発表している。