American Express(アメリカン・エキスプレス)は、同社初の全デジタル消費者向けチェッキング口座サービスをローンチしたと、米国時間2月8日に発表した。この新しいサービス「American Express Rewards Checking」は、現在、対象となる米国のコンシューマーカード会員が利用可能だ。この動きは、デジタルバンキングサービスの出現により、伝統的な銀行はデジタル戦略を強化し、より競争力のあるバンキングサービスを提供することが求められている中でのことだ。
American Expressによると、この新口座は、対象となるデビットカードの購入でメンバーシップ・リワードのポイントが付与されるほか、年率利回りが全米平均の10倍となっており、対象となる購入品には購入保護が付く。また、毎月の維持費や最低残高の設定もない。American Express Rewards Checkingの年利率は0.50%で、対象商品の購入代金2ドル(約231円)につき1ポイントのメンバーシップ・リワード・ポイントが貯まるデビットカードが付属しており、このポイントは同チェッキング口座への入金に交換できる。また、会員はAmerican Expressアプリでチェッキング口座にアクセスして管理することができ、小切手をアプリで入金することも可能だ。
American Expressのコンシューマーバンキング部門の取締役副社長兼ゼネラルマネージャーであるEva Reda(エヴァ・レダ)氏は、声明の中で次のように述べている。「(カード)会員のみなさまは、当社からより多くの銀行商品やサービスを求めています。お客様は、自分にとって重要な特典を諦めることなく、当座預金にさらなる価値を求めています。そのようなことから、American Expressの強力で信頼性の高い後ろ盾のもと、会員のみなさまにさらなる価値をお届けするため、Amex Rewards Checkingを開発しました。妥協のないデジタルチェッキング口座です」。
また、この口座には、詐欺行為の防止と監視、電話やチャットによるカスタマーサービスへのアクセスが付いている。American Expressはこれまでにも、American Express High Yield Savings Account(HYSA、高利率預金口座)やCertificate of Deposits(CD、定期預金証書)などの消費者向け預金商品を提供してきたが、今回の新しい当座預金口座サービスは、これらの商品ラインアップに加えての提供となる。
デジタルバンキングは、デジタルサービスへの需要の高まりと、新しいスタートアップやネオバンクの人気の高まりにより、従来の銀行セクターを進化させている。Varo Bank、Chime、Currentなどのスタートアップは、伝統的な銀行セクターを破壊し、American Expressのような金融企業が会員を惹きつけ、維持するために、より多くのサービスを打ち出す原因となっている。
8日の発表は、オーストラリアのフィンテック企業Openpayの米国子会社Opyとの提携計画に続くもの。この提携により米国のすべてのカード会員は、ヘルスケアと自動車の分野で対象となる購入をした際に、分割払いができるようになる。American Expressはすでに、2017年に開始した100ドル(約1万1560円)以上の購入を対象とした「Pay it Plan it」プログラムで独自のBNPL(後払い決済)オプションを提供しており、固定金利も提供している。今回のOpyとの提携により、Amexは、大きな買い物を長期間にわたって支払うオプションの需要に応えることができる。
2021年7月、American Expressは、スタートアップのBodesWellと提携し、ファイナンシャルプランニングにも進出した。クレジットカードの巨人である同社は「My Financial Plan(MFP)」と名づけられた初のセルフサービス型デジタルファイナンシャルプランニングツールの試験運用を開始した。この製品は、ユーザーが自分の財務状況を完全に把握し、住宅購入やリタイアなどの人生の大きなゴールを立てて達成できるよう支援することを目的としている。
画像クレジット:American Express
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(文:Aisha Malik、翻訳:Aya Nakazato)