ウォルマートは、米国の店舗から電子たばこを一掃する計画だ。
「連邦政府、州政府、地方自治体の電子たばこに対する規制がより複雑になり、今後の展開が見通しにくいことから、ウォルマートとサムズクラブの米国の全店舗でニコチンを含む電子たばこ製品の販売を中止する予定」と広報担当者がメールで明らかにした。「在庫がなくなり次第、販売を終了する」
最初に報じたのはCNBCで、社内文書の内容として報道した。
ウォルマートの動きは連邦規制当局が業界に大きな圧力をかけていることを受けたものだ。当局は全米の電子たばこ関連と疑われる症状への対応に追われている。だが犯人はたばこではなく、THC(大麻の有効成分)が目的の合法性が疑われる製品のようだ。
規制当局や民間の健康関連団体は、10代の電子たばこ使用率が劇的に増加している現状を警戒し、フレーバー電子たばこの禁止に動いている。喫煙がまん延する一部の国では、電子たばこを完全に禁止する初期的な措置を講じている。
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CNBCによると、ウォルマートは社内文書で「連邦政府、州政府、地方自治体の電子たばこに対する規制がより複雑になり、今後の展開が見通しにくいことから、ウォルマートとサムズクラブの米国の全店舗でニコチンを含む電子たばこ製品の販売を中止する予定」と通達したという。
今月初め、前ニューヨーク市長で富豪のMike Bloomberg(マイケル・ブルームバーグ)氏の関連慈善団体が、子どもの電子たばこ喫煙を防止するため1億6000万ドル(約172億円)を拠出することを明らかにした。ホワイトハウスも翌日、フレーバー電子たばこのカートリッジ販売を禁止する措置を取ると発表した。
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報道では、保健当局が電子たばこに絡む肺疾患の原因究明を急いでいる。米国で少なくとも530人が電子たばこが原因と疑われる肺疾患にかかっている。米国疾病管理予防センターは9月19日の声明で、これまで7人が関連する疾患で死亡したが、症状の原因とみられる物質や製品は特定されていないと発表した。
この肺疾患はこれまで全米38州で確認された。
ウォルマートは10代のたばこ製品へのアクセスを制限する措置をすでに取っている。今年初めにはたばこ製品の購入年齢を21歳に引き上げた。ティーンエイジャーの間で「大流行」していると規制当局がみる状況への対応だ。少なくとも25%の学生が、自身は電子たばこを喫煙していると答えている。
電子たばこ大手のJuulにとっては悪いニュースだ。同社は2018年12月にたばこ大手のAltria Groupから128億ドル(約1兆3770億円)を調達した。
Juulは市場シェア70%を占める電子たばこブランドとして当局による精査の焦点となっている。FDA(米食品医薬品局)は今月初め、同社のマーケティングの方法に問題があるとして警告を与えた。
Juulは政府が課す規制をすべて順守すると述べた。フレーバー製品に関する連邦規制案に対し同社は「フレーバー製品全体の規制を強化することに全面的に同意する。発効次第、FDAポリシーを完全に順守する」と表明した。
ウォルマートは、この記事執筆時点でTechCrunchからのコメント要請に応じていない。
画像クレジット:EVA HAMBACH / AFP / Getty Images
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(翻訳:Mizoguchi)