米国国立公文書記録管理局(NARA)は、2010年にOpen Government Plan[開かれた政府計画]を開始して以来、数多くの情報をデジタル化してWikipediaにアップロードし、収蔵資料を広く公開してきた。 しかしこれまで、デジタル化された資料をWikimedia Commonsにアップロードする作業はサイドプロジェクトだった。今月公表された2014年Open Government Planによると、プロジェクトはNARAの中核事業になる。The Signpostが報じた。
NARAのデジタルコンテンツ・スペシャリストで、常勤WikipedianでもあるDominic McDevitt-Parksによると、連邦政府の “record-keeper”[記録責任者]がWikimediaにファイルをアップロードする目的は、広く一般に提供するためだという。
2012年、NARAは実験的に10万枚のデジタル画像をWikimedia Commonsにアップロードした。これらの写真は、後にWikipediaの編集者たちがプロジェクトや記事で使用することができる。
「われわれの記録を扱ったWikipedia記事4000項目が、会計2013年度中に10億回以上のビューを得た。向こう2年間、Wikimedia Commonsで利用可能な国家公文書の数を増やしていき、戦略的目標である ‘Make Access Happen’を推進すると共に、一般によるわれわれの記録の再利用を広めていく」と計画には書かれている。
所蔵文書の利用可能にすることによって、コンテンツが参照される機会が増え、NARAはWikipediaでの存在感を高めることができる。そして、今後NARAが所蔵するデジタル化データはすべてWikimediaにアップロードされる。
誰でもWikimedia Commonsにファイルをアップロードができるが、McDevitt-Parksによると、大量のファイルを一括送信するための簡単なドラッグ&ドロップ機能は用意されていない。それはNARAが取り組まなくてはならない最初のハードルだった。
彼らはWikimedia Commons APIを使って、より堅固なアップロードスクリプトを開発しており、今年中には完成する予定だ。
なお。彼らがアップロードするデータ量のために、Wikipedia Commonsサーバーに負荷がかかる心配はなく、NARAでもWikimediaの負荷に関する議論は行っていないと、彼は言っていた。
アップロードされるファイルは、ありふれた政府機関の記録から、第2次世界大戦の写真や、大統領の肖像まで多岐にわたる。
WikimediaワシントンDC支部は、いくつかのプロジェクトを進めており、その多くはNARAおよび議会図書館との作業だ。各支部は、Wikimedia Foundationとは独立の組織で、直接の系列関係はない。
Wikimedia DC支部長、James Hareによると、何人かのWikipediaボランティアがNARAに協力して、所蔵書類のデジタル化を進めている。
「Wikimediaコミュニティーへの働きかけは、NARAにとって常に重要課題である。2011年に新たな関係が始まってからは特にそうだ」とHareは言った。
NARAは、Wikimediaにファイルをアップロードする世界の数多い機関の一つにすぎないため、Hareによると、Wikimedia Foundationはテラバイト単位のストレージを保有していることから、問題なくアップロードを処理できる。資金調達が進む限り、スペースは常にある。
「連邦政府には、市民がデータを利用できるようにして、政府が何をやっているかという情報を公開する義務があり、WikipediaやWikimedia DCと協調することは、そのために最適な方法だ。情報は埋もれたポータルにしまっておくのではなく、人々が実際にそこで読むことができる場所に置くべきだ」と彼は言った。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook)