米国政府、NSAは法的承認なく国内通話を傍聴可能とする報道を否定

昨日(米国時間6/15)の、NSAが議会に対する秘密の説明会で、同局アナリストは「本人の判断のみ」で国内通話を傍聴できると発表したとするCNETの報道は、テクノロジーおよび政治ブログ界で大きく話題になった。しかし今日国家情報長官(ODDI)は、この記事を「事実に反する」とする声明を発表した。

CNETの記事は、Jerrold Nadler下院議員のコメントに基づいており、記者によると、同議員はNSAから「通話の内容は『アナリストのみの判断』でアクセスできる」と言われた。もしこれが真実なら、アナリストの勘だけで国内通話の傍聴が可能というのは、かなり危険な発想だ。

ODNIによると、「一人のアナリストが適切な法的承認を得ずに国内通話を盗聴できるという説明は事実に反しており、議会に対してもそうは伝えてもいない」。ODNIによると、下院議員らは、外国諜報活動偵察法(FISA)702条の適用に関して説明を受けただけで、これは正当な海外情報収集目的で滞在している外国人を対象としている。

ODNIが以前説明したように、この法令はアメリカ人を対象として使用することができない。しかし、多くの評論家が指摘するように、これらのプログラムの適用範囲から考えると、国内通話および他の通信手段も網にかかる可能性は高い。さらに政府は、調査対象がアメリカ人または合法的市民ではないという判断には、わずか51%以上の確信があればよいとしている。

以前、国家情報長官、James R. Clapperは、NSAのPRISMプログラムに関する最近の暴露報道には「多数の誤り」が見られ、データの発掘および「いかなる米国市民、あるいは在米人を意図的に標的とする」ためにPRISMを利用することはできないことも主張している。

元の記事を報じた後、CNETは記事の見出しを「NSA、令状なしで米国内通話の傍聴可能と認める」から「NSAのスパイ活動範囲、米国内通話内容にも拡大」へと変更し、Nadler議員を主たる引用元とした。記事の主旨は変わっていない。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi)


投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。