紛失・盗難対策トラッカーTileがモバイルアプリにストーカー対策安全機能を追加

貴重品の紛失・盗難対策トラッカーで AppleのAirTag(エアタグ)と競合するTile(タイル)は米国時間3月17日、初のストーカー対策機能「Scan and Secure(スキャン・アンド・セキュア)」を導入する。2021年10月に発表されたこの技術は、2022年初頭の導入が約束されていた。Tileのモバイルアプリを利用するユーザーは、一緒に移動している可能性のある未知のTileまたはTile対応デバイスをスキャンすることができるようになる。同社によると、この新技術を利用するためには、ユーザーがTileの所有者であったりTileの発見ネットワークに加入している必要はない。また、iOSとAndroidの両方で誰でもアクセス可能だ。

Scan and Secureを利用するには、最新バージョンのTileアプリが必要。また、Bluetooth、Location、Location Services、Precise Locationをモバイルデバイスで「オン」にしておく必要がある。Tileによると、この機能を使用するために、以上の設定やその他の許可設定を変更する必要がある場合は、モバイルアプリ内でそれを促す表示が出るという。

画像クレジット:Tile

アップデート後、新規ユーザーは、アプリのサインイン画面の右上にある「Scan」アイコンをタップすると、この機能にアクセスできるようになる。既存のユーザーも、アプリの設定から「Scan and Secure」にアクセスすることができる。

スキャンのプロセスには、ユーザーの近くにあるTileデバイスを見つけることを可能にするような「正確な場所を探す」ツールは含まれていない。Scan and Secureを機能させるためには、ユーザーは一定の距離を歩くか車で移動する必要がある。Tileによると、フルスキャンを完了し、正確な結果を出すには、連続でも最大10分かかる。家の中をただ歩いている場合や、公共交通機関の中など、近くにある他のTileを検知してしまうような人混みでは機能しない。

スキャンの結果は、完了するとアプリに表示される。ユーザーは、その結果を法執行機関に提出するために保存しておくことができるとTileは助言する。同社は、ユーザーが複数のスキャンを実行することが望ましいと指摘する。スキャン中に一時的に通過したデバイスや、実際に一緒に移動していたデバイスの可能性を排除するためだ。また、スキャンの画像を使って、見た目でデバイスの位置を特定することも提案している。残念ながら「正確な場所を探す」機能はないため、巧妙に隠れたデバイスを見つけられないユーザーもいるだろう。

画像クレジット:Tile

同社は、ストーカー行為などの犯罪行為に使われたデバイスの所有者を特定するために、裁判所命令を通じて法執行機関と協力するとしている。

TileのScan and Secure機能は、Apple(アップル)が提供するAirTagの安全性を確保するためのツール群ほど包括的なものではない。Appleは、AirTagがストーカー行為やカージャックに利用されたという多くの報告を受け、AirTagsとFind My networkをアップデートし、警告とアラートを強化した。これには、Appleがストーカーを特定し、そのデータを警察と共有することができるというストーカー予備軍への警告や、ストーカー被害者の可能性を示す詳細で先を見越したアラートなどが含まれている。さらにAppleは、今後のアップデートにより「正確な場所を探す」機能や大きな音が鳴るアラートを使って、一緒に移動しているAirTagの位置を特定できるようにすると述べた。ゆくゆくは、スピーカーを無効にしたデバイスを見つけることができるようになるという。

Scan and Secureは、Tileモバイルアプリのユーザーを対象に今後数週間かけて徐々に提供されるが、Tileアカウントの有無にかかわらず、iOSおよびAndroidのすべてのユーザーがアクセスできるようになる予定だ。

同社は、この新機能について、安全の専門家に相談したと述べている。専門家らは、ユーザーが自身でスキャンができることは有用な機能だと助言した。特に、ストーカー被害者の70%近くが加害者を知っており、その多くが被害者のパートナーであることもわかっている。

「例えば、家庭内暴力の被害者がパートナーと別れる準備をしている場合、最も安全な時間や場所を選んで、自分の位置を追跡できるデバイスがあるかどうかを前もって確認できるのは便利です」とドメスティック・バイオレンス撲滅全国ネットワークのセーフティ・ネット・プロジェクト・ディレクターであるErica Olsen(エリカ・オルセン)氏は話す。「安全性を高めるには、コントロールを彼らの手に委ねることが重要です」と同氏はいう。

ストーカー問題とは関係のないプライバシーに関する懸念が、ここ数カ月Tileを悩ませてきた。Tileの新しい親会社であるLife360が、顧客データを位置情報仲介業者に売っているとの報道があったからだ。調査の結果、Life360は販売を終了すると述べた

Tileは、他の専門家や支援団体と協力し、時間をかけて安全機能をさらに向上させていくとしている。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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