東京を拠点とする、翻訳のクラウドソーシングサービスのスタートアップGengoに転機が訪れた。先ほど、シリーズCラウンドで540万ドルを調達し、CEOが交代することを発表した。CTOを務めていたMatthew Romaineが、共同ファウンダーでCEOのRobert Laingからリーダーの役職を引き継ぐ。
Gengoは、翻訳者と文書を翻訳したい顧客をつなぐサービスだ。Gengoの興味深い所は、日本の多くのスタートアップと違い、グローバルにビジネスを展開していることだ。彼らの収益のほとんどは海外から来ている。だが今回、シリーズCのラウンドに参加したのは全て日本のVCだった。過去のラウンドでは、IntelやAtomicoといった有力な投資家が参加していたが、今回の投資ラウンドはリクルートホールディングスを筆頭に、SBIインベストメント、三菱UFJキャピタル 、クラウドワークスなどが参加した。
支援者についても注目すべきだ。彼らが全て日本企業だからではない。リクルートは世界各国でオンラインサービスを提供することに注力している企業だ。今年の初め、彼らはドイツのレストラン予約サービスのQuandooを買収している。クラウドワークスはグローバル展開しているクラウドソーシング事業を展開する企業で、最近日本で上場を果たしたばかりだ。
東京を拠点に活動するRomaineはTechCrunchのインタビューに対し、日本の投資家から資金調達を行うのはアメリカでベンチャーキャピタルから資金調達を行うより「実践的だった」と話した。新しい支援者はGengoが「日本で成長するポテンシャルとチャンスが多いにある」と感じているそうだ。2020年に開催される東京オリンピックが近づいてきていることもその理由の一つだ。支援者がこのタイミングでGengoに投資するのは、このことが念頭にあるからのようだ。
「日本とアメリカの2つバックグラウンドを持ち、両国で働いた経験がある私にGengoの次のCEOの役目が託されたことを光栄に思います」とRomaineはブログ記事に記している。アメリカと日本の血を引くRomaineは、今回の資金調達を先導した。
Laingは「特別プロジェクト」を任されるとし、Romaineによるとそれは飾りの役職ではないと言う。
Romaineは、得た資金をGengoのアメリカと日本のオフィスでの採用を強化するのに使用すると話した。セールスとマーケティングを強化すること、そして「より優れた翻訳ツール」を開発し、海外の市場を切り拓く共に日本でのビジネスも拡張していくことが目標だ。
Gengoの新しい投資家の中にも、グローバル展開を目指し、類似したサービスを主軸とする企業がある。彼らが将来的にGengoを完全に買収することもありうるのではないか。Romaineは、投資家とそのようなエグジットの可能性についての話はしていないと私たちに伝えた。
今回の移行により、Gengoの従業員の何人かは同社を去るという噂を聞いた。Romaineは、退職者の事実については認めたが「今回の移行とは関係がない」と話した。
「この発表の前に退職するという報告を受けました。偶然が重なったようです」と彼は言った。
Gengoはこれまでに3億ものコンテンツを翻訳した。昨年Gengoは、スピード、キャパシティ、信頼性、ユーザーフィードバックといった自社のプラットフォームにまつわる様々なデータをサイトに公開した。
今回の資金調達でGengoは累計2300万ドル以上を調達したことになる。2011年にAtomicoや500 Startupsなどから525万ドル、2013年のシリーズBでは、Intel Capitalを筆頭に1200万ドルの調達を達成している。
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