老人在宅モニタ機器の情報化とネットワーク化とモバイル(移動)化を初めて実現したAmulyte

テレビコマーシャルから流行語になった“I’ve fallen and I can’t get up”(転んじゃって起きれないの)は、今やお笑いネタにもされているが、でも実際にあなたのおじいさんおばあさんがそんな状況になったら笑い話ではすまされない。

カナダのWaterloo大学の同級生Jaclyn KonzelmannとPerry Haldenbyにも祖父母がいるので、今出回っている高齢者用のモニタリングシステムのどーしょーもない限界に気づき、もっと良いものを作ろう、と思い立った。それが、Y Combinatorの支援で立ち上がったAmulyteとその製品、ご老人用のより“スマートな”救命ガジェット(lifeline)だ。

Konzelmannは開口一番、“これまでの製品はどれも、30年前の技術を使って基地局だけに接続する”、と言う。そもそも、それを身につけた状態でずっと家の中にいるならよいが、ばあちゃんがちょっと散歩に出かけたときはどうなるのだ? バスに乗って遠くの友だちを訪ねた、なんて“想定外の”事件が起きたら?

ばあちゃんは、予約価格99ドルを払って、Amulyteを買うべきだったのだ。同社の、その名を“お守り(amulet)”に借りたガジェットは、首にかけたりポケットに入れておく小さなペンダントで、シンプルな外見だが中身は濃い。Amulyteはセルラー無線、WiFi、GPS、加速度計、そして全体をコントロールするマイコンを搭載しており、しかも電池は一週間もつ。最終製品はスピーカーとマイクを搭載して双方向通信ができるようになる予定だが、この小さなペンダントにそれらを詰め込むのが難しい。

もちろん、部品はユーザには見えず、見えるものは真ん中にある大きな’help’ボタンだけだ。そのボタンを押すと、あらかじめ設定されている連絡先全員に、音声やテキストで緊急情報が行く。深刻な状態なら、救急サービスも呼び出せるが、その区別の方法は目下検討中だ。

また緊急時でなくても、当人の身体情報をいつでもチェックできる。活動のレベルや位置などだ(WiFiを使うので屋内でもよい)。それらの情報はリアルタイムで送られ、介護担当者などがリモートで状態を知ることができる。もちろん、異変があれば駆けつける。

このような、ネット接続型のハードウェアの多くがそうだが、Amulyteもその利用に課金するつもりはない。Konzelmannは曰く、ハードウェアの代金だけでコストは十分にカバーできる。ただし月額30ドルの会費を払うと、携帯電話的にも使えるし、またAmulyteの健康モニタポータルにもアクセスできる。

老人モニタ器具/システムの革新を目指すスタートアップは、Amulyte以外にもある。バージニア州のBeCloseは昨年、独自の在宅モニタリングシステムを発売したし、Livelyは人間ではなく、家中のいろんな物の位置や状態を追う。それらの中でAmulyteの差別化要因は、家の外でも使えるし、介護者をはじめ複数の連絡先に情報が行くことだ(緊急時送信と常時モニタリングの両方)。文字通り“スマートな”製品だと言える。

ただし製品の完成と発売は数か月後だ。今二人はもっぱら、デザインを磨き上げ中で、いろんなプロトタイプ機を地元の老人ホームでテストしている。評判は概して良いが、消費社製品としての完成は来年初頭とのこと。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))