自動化技術の進展を横目に、Blinkistは人力で書籍要約を行っている

私が、ノンフィクションの新刊を、読みやすい要約と音声にしてくれる、Blinkistのことを耳にしたとき、最初はまあどうせ機械学習を応用した類のものだろうと考えた。しかし、ベルリンになるBlinkistの本社で、共同創業者のNiklas Jansenと話をしたところ、同社は依然として大幅に人力を採用しているということがわかり、嬉しさと共に驚きを感じた ―― そして実際、それこそが同社の成功の源なのだ。

Blinkistの基本的なアイデアは、ノンフィクションの新刊から最良のものを選び、その内容をそれぞれ1、2分で読める長さの幾つかの断片に凝縮して、本全体を合計15分程で読める”blink”(まばたき、一瞬)の集まりにまとめるということだ。タイトルは、ベストセラーや、トップ10リスト、そしてユーザーウィッシュリストや提案から選ばれて、定期的に追加されて行く。

特に変わったところはない。しかし、Blinkistが差別化しようとしているところは、これらの要約の品質にある。誰でも本を読んで、各章の概要を伝えることはできる。また、そのようなことを行ってくれる自動サマリーサービスも存在している。しかし、Blinkistの場合は、その分野をよく知っていて、その情報をどのように伝えれば良いかに精通した人物を選び出して、その作業を行うのだ。

しかし、出版されている様々なノンフィクションをフォローするためには、専門家、博士、著者たちの膨大なデータベースが必要ではないだろうか?もちろんそうだ。そして、そのようなデータベースを構築するところこそ、Blinkistが多大なリソースを投入した場所なのだ。

サブスクリプションサービスとしては既に安定した収入を得ているので、書籍を詳しく検討し、重要な部分を抜き出し、説得力のある方法でまとめるという、大切な仕事を依頼することのできる専門家の大きなネットワークを維持しながら、高品質な出力を行うことができている。しかしこれらの要約は網羅的なものは目指してはいない、それが「要約」(summary)と呼ばれている理由だ。

「重要なのは、Blinkistは対象の本を置き換えるつもりはないということです」とJansenは語る。「私たちは、Blinkistを実際の本への橋渡しと考えています。その後で、元の本を買いたくなる場合がいつでも出てきますからね」(もちろん、購入用のリンクが用意されている)。

私はまた、Blinkistがフィクションに関しても同じことをやるのではないかとも考えていた(そうだとすると読書の楽しみが台無しになると思いながら)。なにしろ、フィクションを読むという行為は、コアになる概念を学んだり、それがどのように実証され証拠立てられているかを知る行為ではないからだ。それは物語を体験するという行為だ。そして読む速度、言葉、そして会話がそこではとても大切だ。幸いBlinkistもこれを理解している。それがチームがそちらへ進まない理由なのだ。ということでノンフィクションは、はるかに論理的な選択肢なのだ。

ここで私は、現代のノンフィクションを、大量には読んでいないことを告白しなければならない。本当に。しかし、そうした本が決して私の興味を惹かなかったということではない。Blinkistは私のような人間にも向いているようだ、すなわち素早く好奇心が満たされることを望む読者たちに。

現代のスタートアップが人間の要素に大きく依存しているのを知ることは、元気付けられることだ。Blinkistに必要な費用は年間50ドルで、無料ではない。しかしそれを「人文系博士保全」ファンドだと考えることもできる。

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(翻訳:sako)

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TechCrunch Japan

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