自転車用ビデオカメラのFly6は、録画されていることをドライバーに知らせて安全運転を促す

ロンドンの救急病院関係者には、サイクリストは「臓器提供者」である、というブラックジョークがある。重量貨物トラックと狂暴な4輪通勤者たちによる試練の中を走り抜くことは冗談では済まされない。英国の首都等では、すでに多くの都市サイクリストたちがヘルメットカメラを装着して、通勤中遭遇する危険ドライバーたちの映像を記録している ― YouTubeでちょっと”cycle helmet camera“を検索しただけで34万6000件がヒットする。

しかし一般にヘルメットカメラは受動的なテクノロジー利用方法であり、撮影中であることをドライバーに示す明確な信号がない。このため、〈悪いことが起こるまで〉運転挙動に有益な影響 ― 運転者が周囲の自転車にもっと注意を払うようになる等 ― を与えることはない。

最近本誌で紹介したITスタートアップは、道路上でサイクリストの存在感を高め、周囲のドライバーの挙動に有益な影響を与えることを目的にしている。レーザー光線を利用したBlazeプロジェクトは、1月にTechCrunchのCESハードウェ・バトルフィールドで戦った。そして最近同社は、50万ドルのシード資金を調達した。

しかし、ドライバーの運転マナーを良くしようとする試みは他にもある。今度はオーストラリアのスタートアップで、現在Kickstarterで資金集めをしているFly6だ。

Fly6は、サイクリストの位置をドライバーに知らせるためにレーザー光を使っていない。代わりに、自転車後部に設置されたカメラのレンズを点滅する光で目立たせることによって、運転手に自分が撮影されていることを知らせ運転挙動を改善させようとしている(彼らはそう望んでいる)。

自転車のシートポストに取り付ける赤いテールライトに内蔵されたHDカメラには、点滅つるLEDライトが円型に配置され、ドライバーの注目をカメラレンズに引きつけるよう設計されている。Fly6の哲学はこうだ。「見られていることを知るドライバーは、行儀よく振舞う」。

このLEDライトのリングが、前方の自転車が事実上モバイルCCTVカメラユニットである、とドライバーに知らせるに十分かどうかは時を待ってみないとわからない。しかし、Fly6のデザイナーたちは、Kickstarterで十分な関心を集め、目標の9万5000オーストラリアドル(AUD)を突破し、20日間を残して1110人の支持者から15万8000AUDを集めた。早割価格は満席で、現在129AUDでデバイスを入手できる。予定出荷時期は5月だ。

Fly6には8GBのmicro SDカードが付属しており、これで連続2時間撮影可能で、その後は15分単位で古いものが上書きされていく。もっと長く録画したければ、16GBのmicro SDカードで4時間、32GBで8時間の録画が可能だ(ただしバッテリー寿命を越える)。Fly6のリチウムイオン・バッテリーはUSB経由で充電ができ、5時間以上使用できる。

果たしてFly6はナンバープレートの正確に写し出せるのか? 可能だが保証はできないと作者たちは言っている ― 道路や天候等に左右されるそうだ。しかし本当のところ、このカメラの真の目的は、ナンバープレートを収集する必要をなくし、ドライバーがサイクリストを危険に晒す前に、もう一度よく考えてもらうことにある。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


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TechCrunch Japan

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