苦戦中のハーレーダビッドソンが構造改革推進で700人削減

苦戦しているミルウォーキー拠点のHarley-Davidson(ハーレーダビッドソン)は2019年に、売上の回復と若年層へのアピールを狙って初の電動バイクを立ち上げたが、いまグローバルで700人を削減しようとしている。約500人が年内に解雇される、と同社は米国時間7月9日に明らかにした。

同社のCFOであるJohn Olin(ジョン・オリン)氏もまた社を去る。退職は即日だ。財務担当の副社長であるDarrell Thomas(ダレル・トマス)氏が、次のCFOが指名されるまで暫定CFOを務める。「大きな変化が必要だ。そして我々は新たな方向へと進まなければならない」とハーレーダビッドソンの会長兼CEOのJochen Zeitz(ヨッヘン・ツァイツ)氏は声明で述べた(Harley-Davidsonリリース)。

ハーレーダビッドソンは人員削減と構造改革の計画に「The Rewire」という名称を付けた。ツァイツ氏が2020年4月に第1四半期の決算会見で明らかにした。当時、ツァイツ氏はハーレーダビッドソンが「More Roads」という戦略計画をまだ進めていると話していた。この計画はマーケティングやディーラーシップイニシアチブ、アジア市場向けの小型バイクやLiveWireで始めるEVなどを含む一連の新プロダクトを通じて、ハーレーダビッドソンをアクセスしやすいグローバルのブランドにすることが目的だ。

しかしツァイツ氏は4月に、変革の時だと宣言した。

「観察と評価の結果、持続性のある利益や長期的成長のために我々は大胆なアクションを取り、優先順位や実行、オペレーティングモデル、戦略という点で刷新する必要があるという結論に至った」と同氏は4月に述べている。「我々はこれを『The Rewire』と呼ぶ。これは今後数カ月のためのシナリオであり、新たな5カ年戦略計画につながるものだ。戦略計画は将来の見通しが戻ってきたときに共有する」。

将来の見通しは明らかに戻った。そしてハーレーダビッドソンはコストを削減し、基幹プロダクトに戻る時だと考えている。初のRewireアクションは2020年第2四半期の約4200万ドル(約45億円)のコストの構造改革となる見込みだと同社は7月9日の声明で述べた。第2四半期の決算を発表するときに、追加コストや予想される節約幅を含めたThe Rewireの概要を明らかにする計画だ。The Rewireは、第4四半期に発表される見込みの2021〜2025年新戦略計画の基礎となる。

ハーレーダビッドソンの主要顧客であるベービーブーマー世代が年を取るにつれ、同社にとって最大のマーケットである米国では近年販売が不振だった。新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックは販売をさらに下押しし、同社は生産を縮小した。その結果、ウィスコンシンとペンシルバニアの工場で先月数十人を解雇した。EVとアジア諸国向けプロダクトの推進は、新マーケット拡大とハーレーダビッドソンの復活を目的としていた。

「The Rewire」が同社のEV推進にどのように影響するかは不透明だ。2019年秋にローンチされたLiveWireは、同社が計画したバイクや自転車、スクーターを含む未来のEVラインナップにつながるはずだった。ハーレーダビッドソンにコメントを求めたが返事はなかった。反応があり次第、記事をアップデートする。

同社の声明では、EVについて特に言及されていない。ただ構造改革計画の主要素は、中核となる強みやバランスのとれた新分野への進出の推進、重要マーケットの優先、リセットプロダクトの立ち上げ、アクセサリー・小売事業の構築だと述べている。

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(翻訳:Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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