2020年12月2〜3日に開催されるグローバルのバーチャルイベント「Sight Tech Global」は、視覚障がい者のためのアクセシビリティと支援技術の未来を開く高度なテクノロジー、特にAIに関する世界トップの専門家に集まっていただくことを目指している。
この記事ではさまざまなセッションを紹介する。このほかにもAIバイアスや市民の権利など、さらにいくつかのセッションやブレイクアウトが予定されている。何週間にもわたる調査や話し合いからわかったのは、研究者や技術者、製品と設計を考える人たちは、みんなで集まって、見通しや課題、脅威といった未来について話し合いたいという一貫した強い関心を持っているということだ。
テクノロジーのリーディングカンパニーが揃い踏みし、多くの大学やスタートアップからトップレベルのメンバー(Sight Tech Globalリリース)を迎えて、講演や専門性の高いプロが進行するパネルディスカッションを実施できることをとても喜んでいる。一部のセッションでは視聴者からの質問も受け付ける予定だ。
イベント開催が近づいたら、各セッションの日時や追加のスピーカーを紹介する。今すぐ参加申し込みをしておこう。以下にSight Tech Globalのセッションの第1弾を発表する。
Seeing AI: Where does Microsoft’s blockbuster app go from here?(Seeing AI:マイクロソフトの大ヒットアプリはこれからどこへ向かうのか)
コンピュータがパワフルになりクラウドにあるデータリソースを使えるようになって、Microsoft(マイクロソフト)のSeeing AIモバイルアプリは視覚に困難があるすべての人にとってこれからより良い味方になっていくはずだ。Seeing AI共同創始者のSaqib Shaikh(サーキブ・シャイフ)氏が、アプリがクラウドを活用する未来をつくるエンジニアリングチームを率いている。
Saqib Shaikh(サーキブ・シャイフ、マイクロソフト、Seeing AI、共同創始者)
進行:Devin Coldewey(デヴィン・コールドウェイ、TechCrunch)
The future according to OrCam(OrCamの考える未来)
AIベースのコンピュータビジョン、音声認識、自然言語処理が進むにつれて、現実の世界を理解し情報をタイムリーにやりとりするデバイスの設計がエンジニアリングの課題となっている。Amnon Shashua(アムノン・シャシュア)氏が手がけるOrCam MyEyeは、専用デバイスでこうしたテクノロジーを統合してシームレスなエクスペリエンスを実現する先進的な取り組みを進めている。
Amnon Shashua(アムノン・シャシュア、OrCamおよびMobileye、共同創業者)
進行:Matthew Panzarino(マシュー・パンザリーノ、TechCrunch編集長)
Accessibility from the wheels up: The Waymo self-driving taxi(走り出す車のアクセシビリティ:Waymoの自動運転タクシー)
視覚障がい者がUberやLyftによって自由を得られるとしたら、彼らがスマートフォンのアプリから自動運転タクシーを呼び出すのはどういう感じか想像して欲しい。実際のところ、来た車両をどうやって見つけるのだろうか。乗ったら何が起きるのだろうか。プレゼンターのClem Wright(クレム・ライト)氏は自動運転タクシーのアクセシビリティ責任者だ。この取り組みに緊密に関わる2つの組織、Lighthouse for the BlindとFoundation for Blind Childrenのリーダーもセッションに参加する。
Clem Wright(クレム・ライト、Waymo、アクセシビリティプロダクトマネージャー)
Marc Ashton(マーク・アシュトン、Foundation for Blind Children、CEO)
Bryan Bashin(ブライアン・バシン、Lighthouse for the Blind、CEO)
進行:Kirsten Korosec(キルステン・コロシェッツ、TechCrunch)
Our AI future is already here(AIの未来はすでにここにある)
AlexaにしてもテスラにしてもFacebook(フェイスブック)にしても、AIはすでに私たちの日常に深く組み込まれている。科学者のKai-Fu Lee(李開復)博士(Sinovation Venturesサイト)ほど、このことを理解している人はそうはいない。李博士はカーネギーメロン大学の博士課程在籍中に話し手に依存しない連続的な音声認識システムを初めて開発した後、中国のGoogle(グーグル)を率い、マイクロソフトとアップルの上級職を歴任した。現在は中国を拠点とする20億ドル(約2100億円)のファンド「Sinovation Ventures」を運営し、SinovationのAI研究施設の所長を務めている。ソーシャルメディアのフォロワー数は5000万人を数える。
Kai-Fu Lee(李開復、Sinovation Ventures、チェアマン兼CEO)
進行:Ned Desmond(ネッド・デズモンド、Sight Tech Global)
The future of AT devices and the companies that make them(支援技術デバイスと、それをつくる企業の未来)
専用デバイスか、アクセシブルなプラットフォームか。DAISY図書を再生できる携帯サイズの読書機のVictor Reader Streamか、iPhoneやAlexaか。支援技術企業は、クラウドデータとエッジコンピューティングパワー、AIのアルゴリズム、そしてこれまで以上に要求の厳しい顧客が存在する世界をどう活用していくのか。Humanware、eSight、APHはすでにそうした未来を見通している。
Gilles Pepin(ジル・ペパン、Humanware、CEO)
Greg Stilson(グレッグ・スティルソン、APH、グローバルイノベーション責任者)
Charles Lim(チャールズ・リム、eSight、CEO)
進行:Betsy Beaumon(ベッツィ・ボーモン、Benetech、CEO)
If the Jetsons had screen readers, would they be using keyboard commands?(宇宙家族ジェットソンがスクリーンリーダーを持っていたら、彼らはキーボードコマンドを使ったか?)
スクリーンリーダーは視覚障がい者にとってこれまでで最も重要なデジタルテクノロジーと言っても過言ではない。同時に、スクリーンリーダーは気が遠くなるほどたくさんのキーボードのコマンドに依存している。そしてブラウザでウェブサイトを読み上げようと思ったら、ウェブサイトのアクセシビリティの貧弱さという忌まわしい現実に苦しめられる。新しいテクノロジーがもっと良い方法へとつながるかもしれない。
Glen Gordon(グレン・ゴードン、Vispero、ソフトウェアフェロー / JAWS、アーキテクト)
James Teh(ジェームズ・テー、Mozilla、アクセシビリティエンジニア / NVDA、共同創業者)
Léonie Watson(レオニー・ワトソン、TetraLogical、ディレクター)
進行:Matt King(マット・キング、フェイスブック、アクセシビリティ技術プログラムマネージャー)
Alexa, what is your future?(Alexa、あなたの未来は?)
6年前にAmazon(アマゾン)のAlexaが登場したとき、音声アシスタントが何百万人もの人の生活に入り込み、視覚障がい者にとってこれほど便利な存在になるとは誰も想像しなかった。2020年秋、Alexaにパーソナライズと会話の機能が導入され、家の中にいるもっと人間的なパートナーへと一歩前進した。AmazonのJosh Miele(ジョシュ・ミーレ)氏とAnne Toth(アン・トス)氏が、Alexaの機能が増えることによるアクセシビリティへの影響(未訳記事)を論じる。
Anne Toth(アン・トス、アマゾンのAlexa Trust、ディレクター)
Josh Miele(ジョシュ・ミーレ、アマゾンのLab126、主任アクセシビリティ研究者)
進行:Devin Coldewey(デヴィン・コールドウェイ、TechCrunch)
Augmented reality and perception: What’s the best way to get the message across?(ARと認知:メッセージを伝える最適な方法は何か)
AIベースのシステムが、左へ曲がるタイミングやドアから入ってきた人、ソファまでの距離を「知る」ことは重要だ。しかし気をそらすことなくタイムリーに情報を伝えるのも、それとは別に重要である。研究者たちは触覚、視覚のAR、音、言葉を使った適切なソリューションを見つけようとしている。
Amos Miller(アモス・ミラー、Microsoft AI and Research、プロダクトストラテジスト)
Ashley Tuan(アシュリー・トゥアン、Mojo Vision、メディカルデバイスVP)
Sile O’Modhrain(シル・オモドレイン、ミシガン大学パフォーミングアーツテクノロジー、准教授)
進行:Nick Giudice(ニック・ジュディチェ、メイン大学空間情報科学、教授)
Wayfinding: Finding the mark(道案内:目印を見つける)
スマートフォンの地図アプリは音声出力で利用できる驚異的なツールだが、主なアプリは詳細な位置情報、特にビル内の情報や公共交通機関の状況を読み上げることはしない。こうした情報こそが、視覚障がい者が本当に必要としているにもかかわらずだ。米国と英国での取り組みによりナビゲーションのアクセシビリティが改善している。
Tim Murdoch(ティム・マードック、Waymap、創業者兼CEO)
Nick Giudice(ニック・ジュディチェ、メイン大学空間情報科学、教授)
進行:Mike May(マイク・メイ、GoodMaps、チーフエバンジェリスト)
Computer vision, AI and accessibility: What’s missing from this picture?(コンピュータビジョン、AI、アクセシビリティ:足りないものは何か)
見えている世界を視覚障がい者の代わりに解釈するAIにとっては、何を見ているかを知ることが必要だが、適切なものを見ることもそれに劣らず重要だ。通常のコンピュータビジョンのデータベースでは「まだ」それが十分にできていない。
Danna Gurari(ダナ・グラリ、テキサス大学画像&ビデオコンピューティンググループ、助教授兼責任者)
Cecily Morrison(セシリー・モリソン、Microsoftヒューマンエクスペリエンス&デザイン、主任研究員)
Patrick Clary(パトリック・クラリー、Google AI&アクセシビリティ、プロダクトマネージャー)
進行:Roberto Manduchi(ロベルト・マンドゥチ、カリフォルニア大学サンタクルーズ校コンピュータサイエンス&エンジニアリング、教授)
この他にもセッションやブレイクアウトを準備している。現在、参加を受付中だ。いまのうちに申し込みをしておこう。
Sight Tech Globalのスポンサーとなることを検討している方々は、 ぜひお問い合わせいただきたい 。現在、ありがたいことにアマゾン、Ford、グーグル、マイクロソフト、Mojo Vision、Waymo、Wells Fargo、Humanwareがスポンサーとなっている。スポンサーからの収益はすべて、シリコンバレーで75年にわたって活動しているNPOのVista Center for the Blind and Visually Impairedの収入となる。
Sight Tech Globalのアドバイザーに深く感謝している。Tech MattersのJim Fruchterman(ジム・フルヒターマン)、カリフォルニア大学サンタクルーズ校のロベルト・マンドゥチ、Verizon MediaのLarry Goldberg(ラリー・ゴールドバーグ)、フェイスブックのマット・キング、Be My EyesのWill Butler(ウィル・バトラー)の各氏は、このプロジェクトで計り知れないほど価値のある役割を果たしてくれている。
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カテゴリー:イベント情報
タグ:Sight Tech Global、アクセシビリティ
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(翻訳:Kaori Koyama)