訪日外国人向けウェブマガジン「MATCHA」運営が星野リゾートと資本業務提携、千葉功太郎氏からも資金を調達

日本語をはじめとして、全9カ国語で訪日旅行者向けに観光情報を発信するウェブマガジン「MATCHA」。運営のMATCHAは7月3日、星野リゾートとの資本業務提携の締結に合意したことを明らかにした。MATCHAはこの資本業務提携に加えて、エンジェル投資家の千葉功太郎氏からも出資を受け、合計約5000万円の資金を調達した。今回のラウンドでは総額1億円程度の資金調達を目指すとしている。

MATCHAは2013年12月の設立。現在は月間350万ページビュー、アクティブユーザー150万人を誇るサイトだ。最もアクセスがあるのは台湾やタイといったアジア圏。それに英語圏が続く。記事は東京・浅草に拠点を置く編集部と、日本各地に居る外部ライターが協力して制作している。特に台湾からのアクセスが多いこともあり、日本在住の台湾人を中心にした編集チームが記事の拡充を進めている。

「もともとは(資金調達をするような)スタートアップ的な成長というのはあまり考えていませんでした。ベンチャーキャピタルから声をかけてもらうこともありましたが、やっていることはすぐ結果が出るわけではないので、地道にやっていこう、と」(MATCHA代表取締役社長の青木優氏)。当初はVCからの調達は避け、エンジェル投資家や事業会社などの支援を受けてきた。

これまでMATCHAは、広告をビジネスの中心としてきた。サイトローンチから間もなくクライアントとなったのは佐賀県や東急ハンズ。その後も地方自治体や官公庁、大手企業からの引き合いが相次いだという。「最初の半年は売上ゼロでした。しかしすぐに大手からの引き合いがありました。最近ではWELQ問題などもあって、メディアへの不信感が高まりもしていますが、しっかり信用してもらえています。ですがそれだけでは労働集約型なビジネスとして限界があります」(青木氏)。

そこでMATCHAでは、今後は宿泊施設やアクティビティ予約のアフィリエイトや、人材ビジネスでのマネタイズを強化するという。「訪日外国人は1人17万円くらいを旅行で使いますが、その6割は事前決済です。まずは旅行前の決済についてMATCHAから送客をしていきます。そのために会員機能を強化し、アプリの提供を進めます」(青木氏)。また人材に関しては、日本に訪れる、もしくは日本在住の外国人などに関わる人材ビジネスを検討しているようだ。また星野リゾートは、今回の提携を受けて、日本全国の星野リゾート施設や施設周辺に関する情報を発信し、各施設と連携した新たな取り組みも進めるという。

サイトについては、6月にパフォーマンス向上のためのリニューアルを実施。今後は会員向けのクリッピング機能や予約機能などを追加するほか、レコメンドの強化を進める。「例えば『清水寺』に関するページがあったとき、その1本裏の通りのおいしいお店を紹介するとか、お寺に興味がありそうだから、興味関心がある情報を提供するなどしていく。今は形態素解析で関連記事を出しているが、国が公開している訪日関連のビッグデータなども取り込み、コンテンツの結び付けを進めます」(MATCHA 最高技術責任者の若林竜彰氏)「メディアとしてやれることはまだまだあります。単純なメディアから、より構造化したサービスにしてきます」(青木氏)

左からMATCHA代表取締役社長の青木優氏、最高技術責任者の若林竜彰氏

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TechCrunch Japan

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