大企業の炭素排出量報告(カーボンレポーティング)を簡易化するPersefoniの創業者Kentaro Kawamori氏とJason Offerman氏は、炭素排出のエキスパートだ。
二人が働いていたオクラホマシティのエネルギー企業Chesapeake Energy Corp.は、石油や天然ガスの抽出をやっていたが、それらは世界最大の汚染源のひとつだ。
Kawamori氏は多彩なキャリアの持ち主で、これまでAccentureやInsight、SoftwareONE、Major League Gamingなどでそれぞれ2年ほど過ごし、その後Chesapeake Energyのチーフ・デジタル・オフィサー(CDO)に昇進、そこでOfferman氏に出会った。同社は当時、アメリカを石油と天然ガスの世界の覇者にすべく、健闘していた。
Offerman氏はKawamori氏に出会う前も同社に30年在籍して、現場のオペレーショとERPを担当していた。二人は一緒に社を去って起業家の道を選び、2019年の終わりごろRice Investment Groupと呼ばれる家族VCと出会った。
彼らのタイミングは、運が良かった。Chesapeake Energyはその後1年足らずで倒産した。しかしChesapeakeが苦境でもOffermanとKawamoriの両氏はPersofoniの創業に励み、1月に正規に法人を立ち上げた。
同社は企業に、ERPのソフトウェアに似たものを提供し、確立されたガイドラインに基づいて企業のカーボンレポーティングのスコープをセットアップして、その会社の排出プロフィールを見える化する。
同様のプロダクトを売り込む企業はこれまでもたくさんいたが、多くの顧客企業が環境の影響など無視できると信じているため、売り込みは、組織の惰性の克服に苦労した。しかし今日のような景況においては、企業が株式市場の流動性のために依存する大手の投資家たちにとって、そのような怠惰な態度はもはや受け入れられない。
PersefoniのCEOであるKawamori氏もこう言う: 「今では、機関投資家たちは企業が持続可能性に関する指標を必ず公表せよと迫っている」。
持続可能性に関連する数値の公表を企業に求めているのは、機関投資家だけではない。Kawamori氏の予想では、EUがプライバシーに関する必須事項をまとめたGDPRと同じような 必須的な規制を、炭素排出に関しても成立させるだろう、という。
同社を支える投資家は、8月18日の350万ドルのシードラウンドをリードしたRice Investment Groupと、それに参加したCarnrite Ventures、そして匿名希望のエンジェル投資家たちだ。Rice Investment Groupの共同創業者でパートナーのDaniel Rice氏は、かつてRice Energyの石油と天然ガス担当役員だったが、今回Persefoniの取締役会に加わった。
Persefoniがレポーティングに用いるのは標準的な測度で、そのソフトウェアは、それらの測度に対して同社が策定した基準に基づくレポーティングのみをサポートする。このような、あらかじめ項目の決まった自己報告的な仕組みによって、顧客企業が測定に関して十分な透明性を欠いたり、どのデータを含めるべきかよく分からない場合でも、必要最小限の情報開示を確保する。
Kawamori氏は声明でこう述べている: 「Persefoniが目指すのは、今どの企業でも財務報告がほぼ義務化されているように、将来はカーボンフットプリントの調査や報告を、どの企業にとっても当たり前のものにしたい。財務のためのERPシステムは何十年も前に財務データに関して標準化と義務化を普及させたが、炭素インベントリの管理とトランザクションに関しても、企業に対する同じニーズが育ちつつある」。