貿易業務の効率化クラウドサービス「Zenport」を提供するZenportは7月10日、合計2社の投資家から資金調達を実施したと発表した。調達金額は非公開だが、数千万円規模の調達とみられる。同時に、Zenportはこれまでクローズドβ版として提供してきたZenportのオープンβテストを開始すると発表した。
投資家リストは以下の通り:
- グリーベンチャーズ(リード)
- ジェネシア・ベンチャーズ
また、これまでに同社はエンジェルラウンドでDGインキュベーションから500万円を調達している。
Zenportは、煩雑な貿易業務の効率化をサポートするクラウドサービスだ。貨物のトラッキングや受発注・在庫管理、データ分析、貿易書類の管理などの機能を提供している。
Zenportが効率化する分野は大きく分けて2つある。書類管理と輸送管理だ。
貿易業務には多くの書類が必要になる。エクセルで船積依頼書を作成し、それをサプライヤーに提出する。そして、次はサプライヤーから船積通知書などの書類を受け取るなど、各業者間での書類のやり取りが頻繁に行なわれている。
Zenportを利用すれば、フォームに入力していくことで船積依頼書を作成することができ、ソフトを通してサプライヤーに送信することもできる。
次にZenportが効率化するのが輸送管理。現状、荷主が輸送状況を確認したい場合、まずフォワーダー(荷主と輸送業者をつなぐコーディネーターの役割)に電話などで連絡をし、その後フォワーダーがシステムで輸送状況を確認して荷主に折り返し連絡をするというやり取りが行なわれているそうだ。
Zenportを導入すれば、フォワーダーがスマートフォンを通して荷物の輸送状況を更新することで、直接連絡を取らなくともWeb上から輸送状況を確認することが可能になる。
ただ正直、これだけでは従来の輸送管理方法と大差ないように感じるが、Zenport代表の加世田敏宏は「将来的には荷物につけるタグを導入するなどして、完全自動化を行いたい」と話す。
マッチングプラットフォームや融資サービスへの展開も
加世田氏によれば、2017年4月に開始したクローズドβテストには約10社の企業が参加しているという。Zenportの主なターゲットとなるのは、年商が100〜3000億以下の中堅貿易企業だ。
料金設定はまだ未定だが、物流量に応じて3パターン程度の月額料金プラン(数万円から数十万円のレンジ)を設定する方法を考えているようだ。
加世田氏は今後の事業プランについて、「Zenportで貿易業務に関するデータを集めたあと、荷主と輸送業者をつなぐマッチングプラットフォームをつくりたい。また、将来的にはL/C決済システム(参考)をソフトに埋め込み、それにより集めた決済データを利用して貿易事業者向けの融資業務を行うことも考えている」と語る。
貨物輸送や貿易の分野は、セクシーではないが100兆円とも言われる巨大な市場規模をもつマーケット。旧態依然としたその市場にイノベーションを起こすべく、海外ではFlexportやHavenなどのスタートアップが誕生した。日本でも、つい先日の5月に国際物流クラウドサービスの「shippio」が数千万円規模の資金調達を実施している。