資金調達の好機: VCのスタートアップ投資がバブル崩壊以降の新記録を達成

今は、猫も杓子も資金を調達して会社を作ろうとしているように感じられる。それには理由がある。まさに彼らは今、確かにそうしているからだ。二つの研究調査によると、成長期にある非公開企業がベンチャーキャピタリスト(VC)たちから調達した資金の額は、2001年以来、今が最高である。

MoneyTreeの調査では、今年のQ1に調達された総額は94億7000万ドルだ。この数字は、2001年のQ2に記録された115億ドルから今日までで、最高である。ちなみに前年同期は60億1000万ドルという、ほどほどの額だった。

もうひとつ、DJX VentureSourceの調査では、今年のQ1の投資額が100億7000万ドルで、2001Q2は上と同じく115億ドルだ。

どっちが正しいかはともかくとして、トレンドは明白だ。今は大量のドルが資本市場に投入されて、投資家たちはあらゆるステージの企業に資金を注入しようとしている。NASDAQは高く、IPOの窓が開き、そして豊富な現金を抱える業界の巨人たちがより多くの人材と製品を買おうと躍起になっている。

バブルか? 答は人によって違うが、今が金の動き的には保守的な時代だ、と真顔で言う人は一人もいないだろう。SquareのIPOが遅れている、Box’のS-1が疑問視されている、Kingの公開人気がないなどの傷(きず)はあるけど、そのほかの企業は公開による新たな資金の導入にきわめて積極的だ。

そんな例は山ほどある。

ただし、物差しは正しい物差しを持つ必要がある。上の数字は、投資の水準が2001年半ばのそれに達した、と言っている。しかし、その前については何も言っていない。BusinessInsiderの、いみじくも“VCの投資はドットコムバブルのころのレベルからほど遠い”と題された記事は、下のようなグラフを載せている[データは上記のMoneyTreeの調査より]:

つまりVCの投資は、2001年の大きな爆発以前と比べれば今の方が記録的に高いのだが、この前のバブルに比べると依然として小さいのだ。

2008年のクラッシュの前では、2007Q4の84億5000万ドルがVC投資の最高だが、しかし2000Q1/Q2では280億ドルとバブっている。それは、今の水準のほぼ3倍である。そして今、資金は主に、売上9桁以上の、安定した大企業に行くことが多くなっている。

市場の均衡は完全でなく、相当な額の愚かなお金が、愚行へと投資されている。でも2014Q1の全体としては、成熟期の大きなトップ企業へ大金が行く傾向から見ても、パニックにはほど遠い。

画像: FLICKR/Luz Bratcher; CC BY 2.0のライセンスによる(画像はトリミングした)

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


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TechCrunch Japan

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