TechCrunch Japanに登場する起業家のスマホの中身からアプリのトレンドなどを感じる「起業家のスマホの中身」シリーズ。第三段となる今回は、2018年にホンダジェットエリート(以下、ホンダジェット)の国内第一顧客となった千葉功太郎氏、堀江貴文氏、山岸広太郎氏に協力いただいた。
国産ビジネスジェット機であるホンダジェットの国内第一オーナーが千葉氏、堀江氏、山岸氏の3人であることが発表されたのは2018年12月のことだ。当初、それを伝える会見には千葉氏だけが登場したが、その後、千葉氏はあえて堀江氏と山岸氏とともにホンダジェット エリートの「共同オーナー」として機体を所有することも併せて発表した。その理由は、千葉氏だけではなく、堀江氏や山岸氏といったインフルエンサーを巻き込みたかったからだ。彼らがSNSなどで個人が気軽にジェット機が利用する「General Aviation」という概念を発信することで、オープンな空を日本に根付かせることが目的だという。
では、ホンダジェットを通してオープンな空を目指す3人のスマホの中身はどうなっているのだろうか。早速覗いてみよう。
千葉功太郎氏
まず最初は、コロプラ元代表取締役副社長で現在はドローンスタートアップに特化したVCの「Drone Fund」を率いる千葉功太郎氏だ。
おそらくみなさんの想像どおり、千葉氏のスマホにはドローンや飛行機関連のアプリがずらりと並んでいる。第2トップページの大半は、ドローン各社用の飛行アプリが設置されている。また、日本の飛行可能地域を確認する「ドローン飛行チェック」、風に関する情報を調べる「Windy.com」、パイロット向け気象情報が分かる「StationWeather Pro」、航空管制塔から発信される航空無線をアプリで聞くことができる「LiveATC Air Radio」など、ほかにも様々なアプリが並んでいる。背景画像も、千葉氏自身がハワイで撮影したドローンの空撮画像なんだとか。
なかでも千葉氏のお気に入りは、世界中の航空機の飛行情報をリアルタイムで見られる「Flightradar24」だ。離陸から着陸までのリアルタイムの高度、位置、エアスピード、方位、飛行経路ログを見ることができるほか、製造年や型式など機体の詳細情報と、その機体の過去の全飛行履歴を閲覧可能なのだとか。また、下の写真のように空にスマホを向けるだけで、実際に飛んでいる飛行機やヘリコプターに詳細情報がオーバーレイされる。
そんな千葉氏が仕事で一番利用するのは、Facebookの「Messenger」だという。社内外での連絡はMessengerでやり取りする。また、「Slack」や「LINE」など他のコミュニケーションツールも利用しているようだ。ニュースアプリは、日本経済新聞、NewsPicks、SmartNewsの3つ。名刺管理には「Eight」を利用している。前回の「起業家のスマホの中身」にも高頻度で登場したAIダイエットアプリ「FiNC」もインストールされていた。
そのほかに日本のスタートアップが開発するサービスとしては、模擬株式で自分の価値を取引できる「VALU」が登場。千葉氏は個人でVALUに数千万円規模の出資を行うほか、サービス上でも自身の模擬株式を公開している。また、千葉氏自身が動画を投稿をすることは恐らくなさそうだが、「TikTok」もインストールされていた。
山岸広太郎氏
CNET Japan編集長、グリー取締役副社長などを経て、現在は慶應義塾大学発のベンチャーキャピタル「慶應イノベーション・イニシアティブ」で代表取締役社長を務める山岸広太郎氏。元ジャーナリストでもある山岸氏のスマホにはニュース系アプリがたくさん並んでいる。日経電子版、Financial Times、Wall Street Journal、Business Insiderなどの各国メディアのアプリがトップページに並ぶほか、第2トップページには「NewsAggregation」、「News Papers」、「Newsstand」という3つのフォルダの中ににニュース関連アプリが多くインストールされている。
山岸氏の情報収集方法は文字を読むことだけではない。山岸氏は毎朝徒歩で通勤しているそうだが、その30分間を使ってポッドキャストで情報収集をするという。「BBC、WSJ、FT、TechCrunchなどの英語のポッドキャストを聞いています。全て無料で英語とグローバルトレンドの両方を勉強できて信じられないほどお得」(山岸氏)
また、退社後にはYouTubeやNetFlixなどの動画サービスを利用するそうで、海外ドラマや映画を英語字幕で観ることで英語の勉強も兼ねているという。「Netflixはほぼすべての海外ドラマに英文字幕があるのがAmazon Prime Videoと比べていいです」と山岸氏は話していたが、これは英語字幕で映画を観る読者にとっては共感できる話ではないだろうか。
一方で、仕事でよく使うアプリとして挙げたのは、SlackとFacebook Messengerの2つ。「KII(慶應イノベーション・イニシアティブ)とGREE社内、投資先のBONXの人たちとはSlack、それ以外はFacebook Messengerのコミュニケーションが多い」という。そのほかにも、ノート型ストレージサービスの「Evernote」と紙文書をデジタル化してEvernoteに保存できる「Evernote Scannable」の名前が挙がった。山岸氏は、アイデアノートもタスク管理もすべてEvernoteに一本化するという。千葉氏と同じく、Japan Taxiがすぐ使えるトップページにあるのも印象的だ。
最近ダウンロードしたアプリの中で良かったものは何かという質問をしたところ、山岸氏はカーナビアプリの「カーナビタイム」を挙げた。「Google Mapだと、自分で運転する際にクルマが通れないような細い道に誘導されたり、立体交差などの分岐の案内が分からないときがありますが、カーナビタイムは最新の地図と渋滞情報を反映し、車載ナビレベルの分かりやすい案内をしてくれるので気に入ってます」(山岸氏)。
その他、名刺管理のEight、ダイエットアプリのFiNCなど、過去の回も含めて登場するアプリもインストールされていることにも注目だ。
堀江貴文氏
最後に、元ライブドア代表取締役社長で、現在はロケット打ち上げサービスを提供するインターステラテクノロジズのファウンダーなどとして活動する実業家の堀江貴文氏のスマホの中身も紹介しよう。
山岸氏と同じく、堀江氏の第一ページにもニュースアプリが多く設置されている。堀江氏がニュースアプリとして使っているのは「グノシー」、「NewsPicks」、「LINE NEWS」の3つがある。また、NewsPicksのビジネスコミックレーベル「NewsPicks Comic」の編集長としても活動する堀江氏のスマホの中には、マンガにまつわるニュースを集めた「マンガ新聞」、マンガアプリの「マンガトリガー」がインストールされている。堀江氏はこのどちらにも深く関わっているが、コミュニケーションアプリの「755(ナナゴーゴー)」、グルメアプリの「TERIYAKI」、パパ活に特化したマッチングアプリの「paters」などのアプリも堀江氏が直接関わるものだ。
堀江氏はビジネス、プライベートを通して「LINE」を一番よく使うという。その言葉の通り、堀江氏は千葉氏や山岸氏とは違ってFacebook Messengerを第二トップページに設置していて、代わりにLINEがドックに設置されていた。そのほかにも、「Slack」、「WeChat」、「WhatsApp Messenger」などのコミュニケーションアプリも併用しているようだ。また、コミュニケーションとはちょっと違うが、迷惑電話をシャットアウトできる「電話帳ナビ」がお気に入りだという。ただ、これは毎回タップするたぐいのアプリではないためか、トップページには登場していない。
前回の「起業家のスマホの中身」で頻出していた名刺管理のEightやダイエットアプリのFiNCの姿はトップページにはなかったが、個人的にはマネー管理の「MoneyFoward」、自身の時間を売買できるサービスの「タイムバンク」、模擬株式で自分の価値を取引する「VALU」、ライブ配信の「イチナナ」などがトップページにあることにも注目した。