超高解像X線イメージセンサーおよびカラーカメラ開発の静岡大発スタートアップ「ANSeen」が10.8億円を調達

超高解像X線イメージセンサーおよびカラーカメラ開発の静岡大発スタートアップが10.8億円を調達

目に見えないものの可視化をビジョンに掲げる静岡大学発スタートアップ「ANSeen」は9月7日、シリーズBラウンドにおいて、第三者割当増資および融資により9億円の資金調達を行ったと発表した。また、NEDOの助成対象事業者に選定され、約1.8億円の助成を受けることが決定した。

引受先はCYBERDYNEおよび同社子会社運営のCEJファンド、環境エネルギー投資、DRONE FUND、信金キャピタル、静岡キャピタル。融資は商工組合中央金庫や浜松いわた信用金庫からによるもの。

今回の資金調達により、超高解像X線イメージセンサーおよびX線カラーカメラの量産設備を導入し、2021年中に量産体制を構築し、非破壊検査や歯科検査装置への搭載を目指す。またCYBERDYNEとの資本提携を通じ、超高解像X線カラーカメラのサイバニクス産業での応用・事業化を推進する。

サイバニクスとは、人・ロボット・情報系が融合複合した新しい学術領域という。医療、福祉、生活、職場、生産分野において、人と情報系とロボット系を機能的に繋ぎ、物理的・情報的・生理的インタラクションを実現するとしている。サイバニクスは、筑波大学山海嘉之教授 (CYBERDYNE代表取締役社長)が人支援を目的として創成し、「Society 5.0」を牽引するコア技術領域でもあるという。

X線の色情報を取得可能な超高解像度X線イメージセンサを搭載したX線カラーカメラ

X線の色情報を取得可能な超高解像度X線イメージセンサを搭載したX線カラーカメラ

同社センサーは、X線の波⻑を⾒分けることができるため、材料識別を実現することが可能。従来の空港でのX線検査などで使用されている簡易的な疑似カラーとは異なり、食品と爆発物の違いなど物理的な違いを表現可能なため、従来では可視化が困難であった自動車や鉄道など金属鋳造部品などの可視化を実現可能としている。

また同社は、2020年に新たに設けられた新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による令和2年度「研究開発型ベンチャー支援事業/Product Commercialization Alliance」助成事業(PCA)に採択された。PCAは、研究開発で培った技術を活用した製品・サービスの事業化を支援する取り組みで、提案から数年後に継続的な売上が見込める企業への助成事業となっている。

同社は、これまでに同機構の助成事業で開発してきたX線イメージセンサーとその製造技術の事業化の蓋然性の高さを評価された結果と考えており、PCA事業により、量産技術の実用化をより確実なものとし、今後の事業をさらに加速的に進めていくとしている。

2011年4月設立のANSeenは、「Making Invisible Visible」、目に見えないものの可視化をビジョンに掲げる静岡大学発スタートアップ。

同社はX線の特徴を存分に引き出し、X線のフォトンひとつを捉える究極のイメージングを可能とする超高解像度X線イメージセンサー、および当該イメージセンサを搭載したX線カラーカメラを開発した。

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TechCrunch Japan

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