2015年に上場したコンテンツとコラボの会社Box(ボックス)の株価は米国時間3月22日、同社が身売りを検討しているとのロイターの報道を受けて上昇した。TechCrunchは以前、乱調市況の数年を経て株価を上昇させるようBoxに対し投資家からのプレッシャーが高まっていると報じている。
同日のBox株の終値は23.65ドル(約2570円)で、開始値から約5%上昇したが、ニュースが流れた直後に達した取引時間内の最高値26.47ドル(約2880円)を下回った。同社は5年と少し前に1株14ドル(約1520円)で上場し、取引初日の株価は本日と同じようなレベルで上昇した。
ユビキタスなCEO兼共同創業者のAaron Levie(アーロン・レヴィ)氏のおかげもあってスタートアップ業界で有名なBoxは、そのペースは落ちてきているとはいえ、上場後は成長し続けてきた。長年のライバルDropbox(ドロップボックス)も上場後に成長のペースは鈍化した。両社とも直近の数四半期の売上高の伸びに関して収益性が上がったことを強調した。
しかしBoxが上場後に遭遇した問題は主に、競合するプロダクトを持つ超大手プラットフォーム企業もライフラインになり得るかもしれないというものだった。Google(グーグル)とMicrosoft(マイクロソフト)は取引で何年もBoxに挑んできたが、両社はレヴィ氏の会社にとって未来のホームになるかもしれない。
先週、BoxはMicrosoft Office 365をより緊密に統合するという取引を発表した。発表のタイミングを考えると、潜在的な取引の前にニュースが流れるかもしれないと推測するのは簡単だった。ロイターの記事は可能性に燃料を注いでいる。
ロイターの報道が正確かはわからないが、Box売却の可能性は理に適っている。
Boxにとって可能なオプションは私募増資を通じて再び非上場になることかもしれない、とロイターは報道した。かなりの売上高といくつかの問題を抱える成熟したSaaS企業を好む傾向にあるVistaやThoma Bravoのような企業が、苦戦しているSaaS企業を買収しようと急襲するかもしれない。企業を非上場とし、そして投資家のプレッシャーを抑制してうまく立ち回る余地を残すことで、ソフトウェア企業は時には新たな活力を見つけることができる。
Vistaが2016年に16億ドル(約1740億円)で買収し、2018年に47億5000万ドル(約5167億5250万円)でAdobeに売却したMarketoのケースを考えて欲しい。最終的にVistaは巨額の利益を手にし、Marketoはさらに幅広いマーケティングツールのプラットフォームを持つ企業の一部に落ち着いた。
カットできる経費、あるいは改善できる売却プロセスがBoxにあるかどうかは不明だ。しかしBoxの37億8000万ドル(約4112億2260万円)という市場価値はより大きなプライベートエクイティファンドの手に落ちるかもしれない。または、ビジネス顧客のリストかテクノロジー、あるいはどちらも切望する大手の法人向けソフトウェア企業が手を伸ばすかもしれない。
噂が本当であれば、シリコンバレーのスタートアップの寵児からIPO、そしてわずか6年で身売りと、Boxにとって驚くべき失脚となるかもしれない。これらは噂にすぎないと記しておくのは重要である一方で、Boxにとって記事は悪い兆しかもしれず、もしかするとではなく単に時間の問題かもしれない。
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タグ:Box、売却
画像クレジット:Bloomberg / Getty Images
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(文:Alex Wilhelm、Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi)