駅や商業施設でデジタルサイネージを見る機会が増えた。リアルな世界の広告がデジタル化されつつあるが、その効果測定となると、まだまだオンラインのように定量的な分析をするというところまではいかない。スタートアップ企業のフューチャースタンダードが看板・ディスプレイ施工大手のクレストと組んで2月から提供する新ソリューション「Esasy」(エサシー)は、この問題を「通行人がディスプレイを見ているかどうかを顔の向きで判別する」というアプローチで解決するものだ。
フューチャースタンダードは映像のリアルタイム自動解析プラットフォームの領域で2014年3月に創業していて、今回のEsasyは第一弾のプロダクトとなる。フューチャースタンダードは、人が直接目視で確認しなくても、監視や計測が行えるようなプラットフォームの構築を目指している。同社は今日、インキュベイトファンド、YJキャピタル、プライマルキャピタルを引受先とする総額1.3億円の第三者割当増資を実施したと発表した。
通行人の顔の向きで関心度を把握
Esasyはカメラ搭載モジュールと、映像解析して結果をダッシュボードで表示するクラウド側のサービスからなる。映像解析はクラウド側で行い、解析後は消去する。店舗内に「親機」を設置するとクラウド側への映像転送は行われない。カメラ搭載モジュールは小さく、デジタルサイネージやポスター、マネキンなどに付けることができ、設置対象は幅広いという。
カメラで通過人数を把握するほか、閲覧者の顔を検知。ディスプレイを見ていた時間はどの程度の長さか、ディスプレイに近づいて見ていたのかどうか、まっすぐディスプレイに顔を向けていたのか、ディスプレイのどの部分を見ていたのかを、カメラが捉えた顔の直径などから判定。これを数値化してデータ解析することができる。複数ディスプレイにEsasyを設置すれば、どの広告物が注目を集めているのかをリアルタイムに把握できる。従来集められなかった客観的な数値データを集めることで、最適なディスプレイデザインの検討や、販促・企画に役立てることができるし、これまで成果の分かりづらかった屋外広告物の費用対効果を計測できるようになる。
EsasyはWiFiモデルが1台あたり導入時12万8000円、月額1万円。LTEモデルは同15万5000円、1万8000円。2月1日から先行予約をはじめて年内に1000台の販売を予定しているという。店舗の話では大手小売数社がトライアルを開始するほか、現在20社が導入検討している段階という。またフューチャースタンダードは今後、ホテルチェーン向けの格安パスポートリーダーや建設現場・倉庫の監視検知などB向けで事業拡大を予定しているという。
ちなみに、Esasyとはアプローチや適用目的が異なるが、リアル店舗向けの映像解析ソリューションとしては、日本市場への参入を検討している米Placemeterというのもある。