遺伝子配列解析のIlluminaがスピンオフしたがん検査のGrailを約8320億円で買収し出戻り

機械学習や遺伝学、医療機器、生物学における進歩が巨大な健康産業向けの新たなプロダクトに融合するにつれ、バイオテックは近年ベンチャー投資が盛んな分野の1つとなった。

そのいい例がGRAIL(グレイル)だ。遺伝子シーケンスの大企業Illumina(イルミナ)のスピンオフとして始まり、Google(グーグル)で長らく役員を務め、実験ラボGoogle[x]の設立に携わったJeff Huber(ジェフ・フーバー)氏が2016年に共同創業した。そのGRAILは現在、買収額80億ドル(約8320億円)でIlluminaに戻ろうとしている。9月21日に買収が発表された(米国証券取引委員会リリース)。

Crunchbaseによると、Illuminaはスピンアウト時にGRAILに1億ドル(約105億円)を投資し(MedCity News記事)、またGRAILはARCHや中国のトップVCであるHillhouse Capitalなどから20億ドル(約2100億円)を調達した。Illuminaの持ち分は現在14.5%で、実質的な買収額は70億ドル(約7330億円)近くになる。

GRAILのテクノロジーは、現在市場に出回っている競合するプロダクトよりも早くがんを検知するために現代の遺伝子シーケンスツールをデータサイエンスと組み合わせて使うためのものだ。

同社が9億ドル(約940億円)を調達した2017年にTechCrunchで報じたように(未訳記事)、「がんを検知するためのリキッドバイオプシーは目新しいものではなく、GRAILは大小のいくつかの競合相手と競争しなければならない一方で、血液サンプルを採取して血流中を漂う初期のがんDNAを検知するテクノロジーはこの業界において革命的で、これは新しいDNAシーケンス装置を使ってのみ可能」だ。

がん検査は1000億ドル(約10兆円)規模のマーケットで、急速に成長している。特に、経済発展するにつれてより多くの患者が積極的な検査を求めている中国やインドのような国でマーケットは拡大している。早期のがん発見は死亡リスクを下げるために極めて重要で、GRAILの有望性は命を救うための「理想」となる。米政府によると、米国では今年約60万人ががんで死亡すると推定され、第1位の死因となっている。

買収の一環としてGRAILは35億ドル(約3660億円)を現金で、45億ドル(約4710億円)をIlluminaの株式で受け取る。買収は12月20日までに完了する見込みで、そこからIlluminaはGRAILに毎月3500万ドル(約37億円)現金で支払う。両社は3億1500万ドル(約330億円)の合併終了契約にサインした。

買収は当局の審査をクリアすることが条件となる。

カテゴリー:バイオテック

タグ:GRAIL Illumina 買収 / 合併 / M&A

画像クレジット:Peter Dazeley / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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