Serverlessはデベロッパーたちに、彼らがAWS Lambdaや、今後のMicrosoft Azure FunctionsやGoogle Cloud Functionsなどを利用して、なるべく容易にアプリケーションを書けるためのフレームワークを提供する。同社は今日(米国時間10/12)、Trinity Venturesがリードするシードラウンドで300万ドルを調達し、そのフレームワークがベータを終了したことを発表した。
Serverlessという社名の起源でもあるサーバーレスという流行(はや)り言葉は、一種の誤称でもある。このサーバー‘レス’という考え方は、実際のインフラストラクチャが抽象化されていて隠されている、という意味であり、そのためにデベロッパーは自分のコードを、通常はLambdaのようなイベント駆動の計算サービス(compute services)へ、単純にデプロイできるのだ。そしてそれらのサービスがそのコードを、イベントにトリガされて実行する。でもそのコードはもちろんすべて、AWSのサーバーの上で動くのだ。
でも、今では名前がひとり歩きしていて、ServerlessのファウンダーでCEOのAusten Collinsも、エンタープライズやスタートアップがこの新しい計算モデルをより容易に利用できるためのフレームワークを作れる、とひらめいた人たちの一人だ。“まず、これはおもしろい、と思ったし、サーバーレスのプラットホームを動かすためには大量のサーバーが必要だから、本当は正しくない言葉だけれど、デベロッパーたちが待ち望んでいたものを言い表す、とてもぴったりの言葉だ、とも思った”、とCollinsは語る。
Serverlessを創る前のCollinsはAWSのコンサルタントで、アプリケーションの開発とデプロイをもっとはやくやりたい、と願う企業がとても多いことを痛感していた。“Lambdaに着目したのも、そのためだ”、とCollinsは述べる。彼がとくにLambdaを気に入った理由は、AWSのそのほかのいろんな機能を、容易に併用できることだった。複雑なアプリケーションを小さなパーツに分割して、それらがAPIで連結する、いわゆるマイクロサービス方式の開発が関心を集めるようになり、保守的な大企業ですら今では、Lambdaのようなプラットホームを利用して開発サイクルをスピードアップしたい、と望んでいる。
Serverlessは、スタートアップやデベロッパーのプロダクトの市場化を助けるHeavybitの育成事業から巣立った。StripeやPagerDuty、CircleCIなどもその同類だ。同社の社員は今12名、Collinsの計画では今回の資金を、フレームワークの開発を担当するデベロッパーの増員と、AWS以外のクラウドコンピューティングサービスのサポートに充てたい、という。
ただし、まだ決まっていないのが収益化の方法だ。Collinsは今検討中だ、と言うが、オープンソース企業によくある、有料コンサルティングサービスとか、有料の特殊機能などが妥当な線かもしれない。このような企業の収益化に関しては、HeavybitとTrinity Venturesの両方に、良い知恵があるはずだ(Trinityは前から、Dockerや類似のデベロッパー企業に投資している)。
GitHub上で同社のプロジェクトは11000あまりのスターをもらい、ユーザーの中にはCoca-Cola Companyのような有名企業もいる。つまり、サーバーレスという言葉はまだ若いのに、このフレームワークに対する需要と関心は、すでに確実に存在している。