デベロッパはコードのリビューに大量の時間を費やす(全コーディング時間の20~50%ぐらい)。自動化ツールのある今でもそうだ。コードリビューは“技術の債務”と呼ばれ、その額を全世界で1兆ドルと試算した人もいる。
リスボンのCodacyは、不要なコードリビューをなくそうとしている。その目標のために同社はこのほど、Caixa Capitalがリードするラウンドで100万ユーロのシード資金を調達した。このラウンドには現在の投資家Faber VenturesとE.S. Ventures、同社に最初の公開投資を行ったJoin Capital、そしてHenrique de Castro(元YahooのCOO)などのエンジェルたちが参加した。これで同社の資金調達総額は150万ユーロになる。同社はこれを機に、サポート言語にRubyとJavaを加えた。
このニュースは、Web Summitの大きなカンファレンスが来年ここで開かれるというニュースにわいたばかりのリスボンのスタートアップにとって、さらなる刺激になる。しかもCodacyは、昨年のWeb Summitのピッチコンペで優勝したのだ。
協同ファウンダのJaime JorgeとJoao Caxariaは、イギリスの大手銀行やコンサルティング企業で技術者チームを管理していたとき、この問題に気づいた。技術者たちのコードのクォリティはそれほど高くないことが多いが、たまに見る良いコードは、コードリビューにあまりにも多くの時間を投じた結果だった。
彼らはコードリビューのもっと多くの部分を自動化できると気付き、そのためのスタートアップを作り、ロンドンのアクセラレータSeedcampの育成事業に参加した。
Codacyのツールは毎回のコミットとプルリクエストで新たな問題を見つけ、それらをデベロッパに報告することにより、手作業によるコードリビューを大幅に減らす。たぶんこれまでコードリビューに費やしていた時間の20から50%は節約できる、と彼らは概算している。
Codacyは今、世界中の8000名あまりのデベロッパが利用していて、発見した問題の数は今年だけで100億近い。
同社のコンペティタは、CodeClimate、Scrutinizer、Bithoundなどだ。
しかしCodacyは単なるコード試験ツールではなく、ソフトウェア開発のワークフローを最適化するツールに近い面もある。またサポートしているプログラミング言語も、Scala, Java, Ruby, JavaScript, Python, PHP, Coffeescript、CSSと多い。
Jorgeはこう語る: “コードに対する静的分析はもう何十年も前から行われているが、それを正しくやるためには、ここ数年で大きく進化してきたワークフローとしっかり歩調を合わせる必要がある(継続的インテグレーションなど)。インハウスのコードアナリシスを構築することには、より有意な結果が得られ、プログラマたちの固有のニーズに迅速に対応できる、というアドバンテージがある”。