電子メールや添付ファイルから財務データをコピーして貼り付けるといった、多くを手動に頼る業務プロセスに対して、インテリジェンスの導入を狙うアーリーステージのスタートアップであるAlkymi(アルケミー)が、米国時間2月26日に500万ドル(約5億5000万円)のシード資金とともにサービスをローンチした。
ラウンドを主導したのはCanaan Partnersで、以前からの投資家Work-Benchも参加している。また、SimCorpも戦略的投資家として貢献している。投資契約中の条項に基づき、CanaanのJoydeep Bhattacharyya(ジョイディープ・バタチャリア)氏はAlkymi取締役会のメンバーとなる。
創業者でCEOのHarald Collet(ハラルド・コレット)氏によれば、Alkymiは仕事の面倒な手作業の多くを自動化することを目標に、ビジネスアナリストのメール受診箱に機械学習を適用しようとしている。同社が開発したのは、これまではアナリストたちが手作業で、アプリケーション、スプレッドシート、そしてデータベースに対してコピー&ペーストをしなければならなかったデータを、自動的に抽出するソリューションだ。
「Alkymiが行っているのは、電子メールとドキュメント関連タスクの自動化に焦点を合わせることですが、特に力を入れている点は、ビジネスアナリストの皆さんがビジネスデータープロセシングセンターやファイナンスデータを抽出して他のビジネスプロセスに流し込む作業(の自動化)です」とコレット氏はTechCrunchに語った。
現段階では、このサービスは金融サービスと緊密に結びついている、金融業界はコレット氏が過去20年の経験を持つ業界であり、このアプローチから多大な利便性を受ける筈だ。彼は利用例として投資資産マネージャーの場合を挙げた。こうした人物は、投資に関するデータが記載された電子メールを受信し、データをコピーしてアプリケーションまたはデータベースにペーストする、そしてこの作業を何度も繰り返して全体的な投資パフォーマンスを報告する。Alkymiはこのデータの一部を自動的に抽出し、手動での全体的なコピー&ペーストの作業を削減する。
基礎となるマシンモデルを訓練するには、操作のサイズと複雑さに応じて数時間から数日の時間がかかるが、コレット氏によれば、一度その訓練が終了したなら、ソフトウェアは自分の知っているものを処理しつつ、扱えないものに関しては人間による作業のために取り分けることができるようになる。そしてその結果から典型的な機械学習のループを通してさらに学習を行う。時間が経つにつれて、ビジネスアナリストたちは、分析を始めるためのデータ入力に時間を費やすのではなく、分析そのものにより多くの時間を使うことができるようになる。現時点では、彼らは40〜50%を自動化することから始めることを狙っている(複雑ではないデータセットの場合それ以上のレートを狙う)。
また今は、同社は金融サービスに注力しているが、長期的には、徐々に他の業種にも拡大していく計画だ。現状としては、有料の金融サービス顧客によって急速に成長している。また、金融サービスの専門家を対象としたプラットフォームでサービスを提供する、投資家のSimCorpとも提携している。
会社は2017年に創業され、コレット氏は製品を開発する前に、潜在的な顧客たちと対話を重ねた。オンプレミスバージョンおよびクラウドバージョンを提供し、ワークフローごとに請求を行う。現在、ニューヨークに本拠を置き、7人の従業員を抱えるが、今年は倍増する計画だ。
画像クレジット: Wavebreakmedia / Getty Images
[原文へ]
(翻訳:sako)