日本にも拠点を置く500 Startupsは、スタートアップ向けアクセラレータープログラムのBatch 21(21期)の募集を開始している。2010年に創業以来、500 Startupsはアクセラレータープログラムを開催しているが、今回募集する21期よりこのアクセラレータープログラムを「SEED Program」としてリブランディングする。TechCrunch Japanはプログラム内容の変更について500 Startupsのパートナーで、SEED Programの運営を担うElizabeth Yin氏に話を聞いた。
Yin氏自身も500 Startupsが提供するアクセラレータープログラムの卒業生だそうだ。Yin氏は高校の同級生とアドテクのスタートアップLaunchBitを創業し、500 Startupsの第2期に参加した。LauchBitは2014年9月にエグジットし、Yin氏は同年10月より500 Startupsにパートナーとして参加している。
Yin氏が500 Startupsのプログラムに参加した時から比べると、500 Startupsのアクセラレータープログラムは随分と変わったという。500 Startupsで提供するコーチングやサポート面が充実し、参加するスタートアップも変わったとYin氏は話す。Yin氏が参加していた頃は、アーリーステージの企業が対象というのを打ち出していたということもあり、まだプロダクトがないチームやプロトタイプ段階のスタートアップが多かった。しかし今では、設立間もなくともすでにプロダクトを持ち、利益を上げているスタートアップも少なくない。そうした変化を受け、500 Startupsの21期からは、以前より少し成長したスタートアップを対象とするように内容が変わるとYin氏は話す。
「21期以降のSEED Programで焦点とするのは、顧客獲得です」とYin氏は話す。SEED Programの参加企業は、顧客獲得のコーチとペアを組んで、顧客開拓を進めることになる。これらのコーチは500 Startupsの社員で、広告業界などでマーケッターやコンサルタントを務めた経歴を持つ人が多いそうだ。B2B SaaSに特化したコーチもいて、法人セールスや交渉におけるアドバイスも提供する。スタートアップからUX、UI、採用など顧客獲得以外の面で相談があれば、適任者を紹介するなどのサポートは行うとYin氏は説明する。ただ、500 Startupsのプログラムではそうした分野に特化したコーチングは行わないそうだ。
プログラムに参加できるスタートアップもすでに自社のカスタマーを把握している企業のみだ。SEED Programへの参加企業は、チームメンバー、プロダクト、市場規模の他に、どのチャネルにいくらかけて顧客を獲得しているかを重点的に聞いて、選考を行うという。「スタートアップが成功するにはチームメンバーやビジネスモデルも大事で、そうした点も見ます。ただ、そもそもカスタマーがいなければビジネスとして成立しないでしょう」とYin氏は話す。
シリコンバレーには他にも多くのアクセレータープログラムがある。500 Startupsでは顧客獲得に重点を置いていることを打ち出すことで、他社と比較した時の強みになることを期待しているとYin氏は話す。
SEED Programの21期はマウンテンビュー にある500 Startupsの本社で5月から始まる予定だ。各地域から何社といった枠を設けているわけではないが、世界各国の有望なスタートアップに門戸を開けているとYin氏は話す。申し込みは4月1日まで受け付けている。