駐車場のシェアリングサービス「akippa」を運営するakippaは11月9日、同サービスの会員数が100万人を突破したことを明らかにした。合わせて会員数の推移やユーザーの属性、人気の駐車場などのデータをまとめたインフォグラフィックも公開している。
akippaは駐車場を貸し借りできるシェアリングエコノミー型のサービスだ。遊休スペースを保有する個人や事業所は、そのスペースを駐車場として貸し出すことで収益を得られる。一方の駐車場を探しているユーザーは、アプリから駐車スペースを検索し15分単位で予約することが可能。
事前に予約・決済する仕組みなので当日駐車場を探してさまようことも、いちいち財布を取り出して支払う手間もない。
akippaは両者を繋ぐプラットフォームという位置付けだ。駐車料金の50%が貸し手の報酬となり、残りがakippaの収益となる。サービスのリリースは2014年の4月。約4年半で会員数が100万人を超えた。
特に直近の約1年間で会員数が急激に伸びているけれど、代表取締役CEO金谷元気氏によると何か特別な施策をやったというよりは「これまで積み上げてきたものがようやく実った」という方が正しいようだ。
特にakippaのようなプラットフォームの場合は、そもそもユーザーが借りたいと思う駐車場が集まらないことには成り立たない。そこでakippaでは積極的に法人とタッグを組み地道に駐車場を増やしてきた。並行して貸し手ユーザーが自発的に登録した駐車場も少しずつ追加され、借り手にとっての選択肢が広がっていったことが大きい。
もちろんアプリ自体の使い勝手が改善されたこと、検索エンジンで「エリア名 駐車場」「スポット名 駐車場」などのワードで検索した時に上位表示されるようになったことなども影響するだろう。
金谷氏自身はひとつの転機として、開発体制が整い出した2016年ごろをあげる。
もともとakippaはギャラクシーエージェンシーという社名で2009年にスタートした会社だ。金谷氏を含め営業を得意とするメンバーしかいなかったため「akippaをスタートしたタイミングでは社員の95%が営業、残りの5%がバックオフィス担当者。開発メンバーは業務委託で仕事を依頼していたエンジニア1人だけだった」という。
2015年には社名をakippaに変更し、駐車場シェアサービスにフォーカスし始めてからは開発体制を強化。現在は15名の開発メンバーがいるそうだけど、ここ2年ほどでグッと会員数が増えた背景には、そのような組織体制の変化も関わっているようだ。
目下の課題はユーザーのニーズに応えられる数の駐車場を確保すること。現在akippaには2万4000拠点以上が登録されているが、それでも5月の資金調達時にも紹介した通り、ユーザーの需要に対して供給が追いついていない。
打開策としてゲート式駐車場をakippaに対応できるようにするIoT端末「シェアゲート」を開発。同業者にあたるシードと提携するなど、他社との連携にも取り組む。直近では奈良県生駒市と連携協定を締結したほか、トヨタと西日本鉄道が実施するマルチモーダルモビリティサービス「my route」の実証実験にも参画している。
今後も自治体や同じ業界を含めた他社と積極的にタッグを組みながら、サービスの成長を目指す計画。また満車で予約ができず困っているユーザーへのソリューションとして、プレミアムプランの提供も検討していくという。