HTML5で超リッチ超高速なインタフェイスを作れるJavaScriptフレームワークFamo.usが、サンフランシスコで行われたHTML5 Developer Conferenceで今朝(米国時間4/1)、二つの発表をした: このフレームワークは数社の“大手ハードウェアベンダ”のおかげで無料で使えるようになる。そして、物理演算エンジンを搭載する。
本誌はFamo.usをこれまで何度か取りあげてきたが、それらを読まなかった人のためにまず概要を: Famo.usは2011年にSteve Newcombが立ち上げた。当時、彼が3年前に作った言語処理の企業PowersetがMicrosoftに1億ドルで買収され、それはBingに組み込まれた。Famo.usが2012年のTechCrunch Disrupt SF(サンフランシスコ)に登場したときは、何人かの審査員を困惑させたが、それからわずか6か月後にはシリーズAで400万ドルを調達した。
簡単に言うと、Famo.usは多くの巧妙なトリックを駆使して演算を直接GPUにさせる(PCでもスマートTVでもタブレットでも携帯でも)。プラグインは使わない。そのためデベロッパは、よりリッチでかつより高速なインタフェイスを作れる。エンドユーザは、プラグインをインストールしなくても超かっこいい(ときにはド派手な)インタフェイスを楽しめる。
下のビデオは、Famo.usを使用したUIのデモだ(http://www.famo.usへ直接行ってもよい)。
しかしFamo.usは、数百万ドルもの資金を元に、何をして稼ぐのだろう?
同社は、デベロッパに課金することもできた。使用料を払うフレームワークは聞いたことがないが、同社はたぶんその例外になれる。しかし、Famo.usの方針は違った。今朝の発表では、“アプリケーションをどんなにたくさん作っても、それらのユーザがどれだけたくさんになっても”、デベロッパはFamo.usを無料で使える。
Famo.usは、数社の大手ハードウェアベンダが今後の製品のUIにFamo.usを利用することから、お金を得る。それらのUIはFamo.usが作る(またはFamo.usが協力して作る)。そしてベンダにライセンスを課金する。さらにFamo.usは、企業向けのアドオンも提供する(UIの効果を評価するためのアクセス分析や、ユーザセッションを録画再生してUIがどのようにナビゲートされるかを調べる、など)。
それらハードウェアベンダの社名等は公表されていないが、こんなことが割に合う“巨大”ハードウェア企業は数社しかない。AppleはHTML5よりもネイティブ主義だから、除外だ(WebKitを通じてHTML5には貢献しているが)。しかしSamsungとLGは今、今後のハードウェアのために、巨費を投じてHTML5向けのオペレーティングシステムを開発中だ(TizenとwebOS)。
また今日の発表によれば、これまではレンダリング専門だったFamo.usに物理演算エンジン(physics engine, フィジックスエンジン)が加わる。Steveによると、同社は三つの基準を満たすエンジンを探した: 速いこと、モバイル対応、そしてDOM完全対応でGoogleフレンドリ。探しても見つからなかったので、同社は内製することを選んだ。
ユーザインタフェイスのためのフレームワークが物理演算エンジンを搭載するのは、2Dや3Dの空間内をオブジェクトが動き回るインタフェイスを高速化できるからだ。必ずしもゲームを意識しているわけではない。物理演算エンジンを使うと、現実世界の重力や質量、抵抗などの感じをリアルに表現できる。
Famo.usのそういう理想像を、Steveは本誌のAnthony Haが先月書いた記事で説明している:
“クソみたいなゲームエンジンを作ったけど、でもそれは、アプリケーションエンジンとしては最高さ”。
Famo.usはまだベータだが、ユーザであるデベロッパの数は3万名近い。登録はここで。
情報開示: 本誌TechCrunchのファウンダMichael ArringtonはFamo.usのシリーズAにおける投資家の一人だ。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))