「黒人起業家はシリコンバレーで起業するチャンスすら得る前に排除されることがあまりにも多い」とベンチャーキャピタルのBlack Founders Matter(ブラック・ファウンダーズ・マター)を設立したMarceau Michael(マルソー・マイケル)氏はTechCrunchに語った。
「社会正義のための運動をまったく別の角度から見つめることは重要」だと同氏。「黒人が警察に殺されてはならないことも重要だが、それは最低線にすぎない。黒人は今も経済的機会から排除されている」。
だからこそマイケル氏は、黒人起業家に投資するために1000万ドル(約10億6000万円)のファンドを設立するという自分の使命を諦めたことがない。私が同氏と初めて話したのは2018年に彼がこのファンドを発表(未訳記事)したときだった。それ以来同氏はポートランドのVC会社で働いて業界の仕組みを学んだ。ファンドを立ち上げる代わりに黒人起業家向けのインキュベーターを作るというアイデアもあった。しかし彼は「テック業界にはもっと多くの意思決定者が必要だ」という結論に達した。Black Founders Matterは、これまでに約100万ドル(約1億600万円)の資金を集めた。
「今はこのファンドの資金集めに苦労していない」と彼は言う。「はっきり目に見える形になりコントロールできている。話をした投資家たちが、黒人や多様化問題を解決しようとする人たちに投資する私たちの仕事の重要性を理解することで、この社会がよくなっていく」。
しかし「目標を達成できるといつも思えたわけではない」と同氏。今、実現できそうだと感じられるのは、社会で人種差別への注目が高まり、会話が増えたことによるものだ。
「今や全米で話し合われ、人々の心の中にある問題なので、資金は早く集まり、話をした投資家はわれわれのやろうとしていることを理解してくれる」と彼は言う。「素晴らしい仕事をして、利益を生む」
この2つは相反するものではない。我々がBlack Founders Matterを慈善事業だと思っていた投資家は断らなくてはならなかった」。
先月、Black Founders Matterは、Jelani Memory(ジェラニ・メモリー)氏が設立したA Kids Book Aboutという会社に初めての投資を行った。「黒人の命の大切さだけでなく、この国における黒人の生活の質にも注目が集まる今、重要なのはコミュニティーが問題を解決するための手段を提供することだ」とマイケル氏は言う。
それこそが同ファンド初の投資がやったことだ。「A Kids Book Aboutは同社初の人種差別に関する本を10月に出版し、あらゆるコミュニティーの問題解決を支援した」と彼は説明してくれた。Black Founders Matterが投資したのはわずか4万ドル(約422万円)だったが、実はこの数字はラウンドに残された出資枠を表している。マイケル氏によると、メモリーy氏はBlack Founders Matterが出資する余地を作るためにほかの出資者を断ったという。この投資のほかにも、いくつかの会社がファンドのレーダーにかかっているが、まずは投資するためのファンドを集めることが重要だ。
「このベンチャー資金を調達し、この分野で働いた経験のすべてが、忍耐強く、機が熟すまで無理をしないことの訓練だった」とマイケル氏は語る。「そして今は間違いなくその時であり、水門は開けられた。そして我々は誠実かつ公正にこれを実行できる。もはや私は、人々を説得しなければならない立場にいない。我々は厳然たる自信を持って会話できるようになり、絶望の縁から訴える必要はない。我々には選択権があり、これは黒人による起業の未来にとって非常に好ましい兆候である。
[原文へ]
(翻訳:Nob Takahashi / facebook)