アプリ市場データを提供するApp Annie(アップアニー)は7月12日、アプリ市場の現状を分析するとともに2021年までの動向を予測した「マネタイズモデル調査レポート」を公開した。このレポートではアプリストア収益、アプリ内広告、およびモバイルコマースの3つの観点からアプリ市場の今を調査している。
本稿では1時間あたりの平均支出額では日本が世界で1位であることと、特に今後の成長が見込まれるモバイルコマース市場に着目した。
1時間あたりの平均支出額、日本が13ドル越えで世界1位
このレポートでまず目を引くのが、「ユーザー1人あたりの1時間の平均支出額」では日本が世界で群を抜いているということだ。
この平均支出額というのはアプリストア、アプリ内広告、モバイルコマースを合計したもの。2016年の全世界平均が0.80ドルであることに対し、日本の場合は13.98ドル。この金額は2021年にかけてさらに伸び、18.42ドルになると予測している。
またApp Annieでは日本の支出額が大きい要因として、特にアプリストアとモバイルコマースの支出水準の高さをあげている。その1例として日本はアプリストアにおけるデバイス1台あたりの平均支出額が123ドルでトップ。2位のシンガポールの約2倍(67ドル)を圧倒的な水準を誇っている。
今後急成長が見込まれるモバイルコマース
今後伸びていく市場、マネタイズモデルという観点では特にモバイルコマースに注目しておく必要がある。世界のモバイルコマースにおける総支出額は2021年に6兆100億ドルに達する見込みだ。
App Annieの調査によると単独ではモバイルおよびアプリ市場の最大の成長要因になっているというモバイルコマースだが、今後も他のマネタイズモデルを上回るペースで成長していくという。2016年のユーザー1人あたりのモバイルコマースへの支出額は344ドルだが、この金額は2021年には946ドルまでになるというから驚きだ。
確かに日本国内に目を向けてもここ最近モバイルコマース関連のニュースが多く、中でも「ライブコマース」が盛り上がってきている。つい先週もメルカリがライブコマースに参入したことが話題になったし、6月にはCandeeがライブコマースアプリ「Live Shop!」の正式提供を開始したニュースも注目を集めた。Live Shop!の記事では「淘宝(タオバオ)上では、1回の生放送で視聴者数が数千人、年間売上二桁億円」という事例があることにも触れたが、このような事例がさらに増えていくことも十分に考えられるだろう。