住むところが見つからなくて、困ってる? しかも、サンフランシスコで?
じゃあ、よそへ行った方がいいわね。ここへ戻っちゃだめ!
(というのは冗談だけど…)
必ずしも冗談ではない。
Andreessen HorowitzのインキュベータでSkypeの役員Sten TamkiviとAHのゼネラルパートナーBalaji Srinivasanに育てられたTeleportなら、本気でそう言うだろう。
まだステルスの同社が今日(米国時間5/19)、ささやかな広告ページを立ち上げた。広告のコンセプトは、世界の主要都市における知識労働者の収入と生活費(衣食住交通ほか)の差額を求め、その額が大きいところを見つけてもらうことだ。
背後にあるもっと大きなコンセプトは、特定の場所(国や都市)への固執を捨てる、という人生哲学だ。たしかにニューヨークやロンドンやシンガポールなどには人材が多く集まっているが、でも仕事は、どこにいてもできる時代だ。そのとおり。
“もはや、仕事==場所という時代ではない”、とTamkiviがブログに書いている。“どこに住んでいようとリモートで仕事ができる人は、毎年数百万人ずつ増えている。最初はテクノロジの界隈だけだったが、今ではほかの業種にも広がりつつある。今すでに、世界の労働者の5人に一人が在宅勤務だ”。
“収入源が可動的になっても、生活費は住んでる場所に左右される。住居費、交通費、育児、教育、医療などなどの費用、そしてこういったサービスの可利用性すら、場所によって違う。サービスへの距離と時間が多くなるほど、その費用も高くなる傾向がある。税金という“費用”もある”。
Tamkiviからじかに話を聞けたら、この記事をアップデートしよう。まだ実際のプロダクトやサービスはリリースしていないけど、ユーザとして、引っ越しを考えている労働者を求めている。
このサービスは、一種の検索エンジンと考えることができる。何を検索するのかというと、可動性のある(==リモートで十分に仕事ができる)労働者が自分のこれからの“生活”を検索するのだ。手取り収入額ではなく、実質収入額、言い換えるとクォリティの高い生活を求めて。今後の世界経済の発展を考え、そしてユーザ一人々々の検索パラメータ(生活上のニーズや好み)の多様さを想定すると、とてもおもしろくて複雑な検索エンジンになりそうだ。
テクノロジ業界の人材が、合衆国の今よりももっとたくさんの都市に分散したらどうなるだろうか。そして人びとの生活状況が今よりももっともっと多様化したときには、どんな起業機会が生まれるだろうか。
テクノロジと交通の発達によって遠距離コミュニケーションの費用は安くなったとはいえ、それでも職場と住居の物理的な至近性が重視される。それはJevonsのパラドクスと呼ばれ、効率の向上が特定の品物やサービスの消費を、減らすどころか増やす、というのだ。情報技術の発達によって、顔と顔をつきあわせる接触がより多く求められる。だからこそ、すでに人口過密な都市が、知識経済の繁栄とともにより一層、好まれるのだ。
このパラドクスは、Teleportのコンセプトから見れば、初期的一時的なものにすぎないのか?
もっと詳しい情報が得られ次第、この記事をアップデートしたい。お楽しみを。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))