メキシコシティを拠点とし、フルスタックのネオバンクを構築しようとしているフィンテックスタートアップであるFondeadora(フォンデアドラ)を紹介しよう。同社は、グーグルのAIに特化したベンチャーファンド「Gradient Ventures」(グラディエント・ベンチャーズ)が主導する1400万ドル(約14億7500万円)のシリーズAラウンドで資金を調達したばかりだ。2018年に設立された同社はすでに15万口座を管理し、毎月2000万ドル(約21億円)の預金を増やしている。
メキシコでは、多くの人々が取引のほとんどをいまだに現金に頼っているため、チャレンジャーバンクにとって大きなチャンスがある。世界各国でカードやデジタル決済への移行が進んでいることを考えると、Fondeadoraを立ち上げるのに適切な時期だったようだ。
なお今回のシリーズA調達ラウンドには、Y Combinator、Sound Ventures、Fintech Collective、Ignia、起業家であり投資家のScott Belsky(スコット・ベルスキー)氏が参加した。
Fondeadoraの共同創業者で共同CEOを務めるNorman Müller (ノーマン・ミュラー)氏は、「我々は約10年前にメキシコで最初のクラウドファンディングプラットフォームを立ち上げました。しかしカード決済の約50%がシステム上のトラブルで失敗しました」と語る。
そのプラットフォームも「Fondeadora」と呼ばれていた。クラウドファンディングプラットフォームのKickstarterとの取引を経て、ミュラー氏とFondeadora共同創業者のRené Serrano(ルネ・セラーノ)氏は初心に戻り、クラウドファンディング・プラットフォームを運営している間に抱えていた問題点を考えた。それが現在のFondeadoraとなり、メキシコの銀行体験を向上させたいと考えているチャレンジャーバンクになったわけだ。
Fondeadoraの設立チームはメキシコ中を旅して、利用できる銀行設立免許を探したそうだ。「手に入れたのは、メキシコのトマト農家のグループが所有していた銀行設立免許でした。20年前、政府は金融包摂(金融サービスへのアクセス増加)を実現するために約10件の銀行設立免許を与えていました」とミュラー氏は振り返る。
同社はこの銀行設立免許を得て、銀行サービスを開始した。支店に行かなくても口座を開設でき、契約者にはMastercardのデビットカードが送られてくる。購入後の通知の受信、カードのロックとロック解除、他のユーザーへの即時振込なども可能だ。月々の利用料は無料で、海外送金手数料もかからない。
次の目標としては、普通預金口座を使いやすくしたいと考えている。「『現金』には素晴らしいUI/UXが備わっています。触ってもいいし、引き出しに入れてもいい。しかし、収入を得るための媒体としてはひどいものです」とミュラー氏は語る。
今後数カ月の間に、Fondeadoraの口座に預けた預金に利息がつくようになる。「私たちは国債に投資しています、それは非常に安全なタイプの金融商品です。メキシコでは5%や6%の金利を得ることができます」とミュラー氏は説明する。このスタートアップのサービスでは、預金のごく一部を中程度のリスク投資にも配分することができる。
画像クレジット:Fondeadora
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(翻訳:TechCrunch Japan)