ドローンはジャーナリズムにとって欠かせないツールになりつつある。ただ問題は一定以上のスキルを持った操縦者が必要なことだ。Fotokite はその問題を思いがけないユニークな方法で解決した。犬を散歩させるとき使うリードのような巻取り式ケーブルの先にドローンを取り付けたのだ。FotokiteにGoProを装着するとリードの持ち手を自動的に撮影する。距離は1 フィート(30センチ)から26フィート(8メートル)まで自由に変えられる。
今日(米国時間8/18)から、一般ユーザー向けのFotokite PhiというモデルがIndiegogoで予約受け付けを開始した。価格は349ドル(GoProは含まない)、2016年の早い時期に出荷予定だという。Fotokite ProはすでにBBCなどの放送局で採用されている。
このドローンは30センチほどの長さの筒状のケースにすっぽり収まるので、どこへでも簡単に持ち歩ける。また4基のプロペラは柔らかい素材が用いられ、プラスティックのガードで囲われるので安全性が高い。自由飛行するドローンを飛ばすのが危険な場所でも安全に空中撮影ができる。スイスとフランスでは人混みの付近でも飛行させる許可を得たという。
共同ファウンダーのLupashinがFotokiteのアイディアを得たのは、2011年にロシアで選挙の不正を巡って大規模なデモが行われたことだった。このデモはほとんど報道されないままで終わるところだったが、幸い都市の景観をドローンで撮影している写真家が居合わせた。そのビデオによってデモに参加した市民がいかに多数だったかが判明した。Lupashinはドローンがジャーナリズムに果たす役割の重要性を改めて認識したが、問題はドローンを飛ばす―特にデモや事件などの騒然とした現場でドローンを安全に飛ばすことの難しさだった。
そこでドローンを凧のようにケーブルでコントロールするというアイディアが生まれた。犬の散歩に使うのに似た自動巻取り式ケーブルを使えばドローン操縦者の必要をなくせるとLupashinは思いついた。GoPro装着マウントにケーブルを接続すればカメラは自動的につねに地上の持ち手の方向を向く。
Fotokite Phiが実際に使われている様子。
私はずいぶんたくさんのドローンを飛ばしてきたが、その大部分でクラッシュを経験している。しかしFotokite Phiを飛ばすのは簡単だ。円筒形のケースから本体を取り出して拡げ、軽くひねるように揺するとプロペラが回り始めるので、そっと手を離す。あとは適当な距離までケーブルを緩めていく。私はオフィっすの中でFotokiteを飛ばしながらあちこち歩きまわったがどこへもぶつけずにすんだ。
ケーブルのハンドルにはドローンの高度やカメラの向きを変えるリモコン・ボタンがついている。高度やカメラの向きを思ったとおりに設定するのは多少慣れがいる。しかし2本のジョイスティックを操る標準的なドローンのコントローラーに比べれば比較にならないほど簡単だ。Fotokiteを自由に操れるようになれば、市民ジャーナリストでも1人で空中撮影による取材ができる。
ちなみに、一般ユーザー向けFotokite Phi とProの違いは飛行時間だ。Phiは約15分間飛行できる。また撮影可能時間はGoPro本体の能力による。これに対してProのケーブルは電源とデータ伝送が可能で、非圧縮でHDビデオをダウンリンクできる。つまり飛行時間にも撮影時間にも制限はない。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)