新型コロナの影響でめっきり美術館に足を運べなくなってしまったが、代わりにオンラインでの作品展示が増えている。ルーブル美術館のバーチャルツアーやバチカン美術館が提供するシスティーナ礼拝堂の360度画像などだ。Googleもまた、Google Arts & Cultureのページで世界各国の美術品をオンラインで鑑賞できるようにした。Googleマップのストリートビューと同じ要領で、美術館の中を探索できるコンテンツなどもある。
これらは大手テック企業や美術館が行っている施策だが、エージーワークスの提供するGALLERIST IIID(ギャラリスト・スリーディー)を使えば、個人のアーティストでも簡単にオンラインのバーチャルギャラリーが作れるようになる。今回私もさっそくGALLERIST IIIDを触ってみたのでこのサービスでできることをご紹介したい。
GALLERIST IIIDでは、アーティスト情報と展示会情報、展示作品を入力するだけで3Dギャラリーを作ることができる。GALLERIST IIIDのサンプルギャラリーを見ると、このサービスで作れる3Dギャラリーの雰囲気がより掴めるだろう。
各展示作品には、展示画像、作品名、作品詳細に加え、販売価格や関連URLといった情報が設定できる。1つのギャラリーで展示できるのは最大24作品まで。ギャラリーの内装のテーマは9種類あり、気に入ったものの中から選べる。
設定を完了しギャラリーを公開すると、URLが発行される。観覧者はURLをクリックして3Dギャラリーを訪れることができる。観覧者はカーソルかキーボード、スマホやタブレットの場合はタッチで移動するか、展示マップ機能で位置を指定してギャラリー内を移動する。
ギャラリーの設定は特に難しくなく、誰でも簡単にを立ち上げることができるだろう。観覧者の立場としては、ギャラリー内の移動が比較的スムーズなのが印象に残った。ストリートビューもそうだが、バーチャルツアーだと操作がうまくいかず、狙った場所に移動するのが難しいことがある。GALLERIST IIIDでは展示マップ機能で作品の真正面に移動でき、操作のストレスが少なく、作品に集中しやすいように感じた。
また、GALLERIST IIIDにはこの自分で操作してギャラリーを観覧するモードの他に自動再生で作品を見るモードも用意されている。操作が難しい時や、まずはどんな作品があるかささっと見たいときに使うと便利だろう。
TwitterでもInstagramでも、オンラインで作品を発表する場はたくさんある。けれど、多種多様な投稿が流れている合間に作品を数分眺めるのだけではなく、じっくりと作品を鑑賞できるような場はオンラインではまだそうないかもしれない。周囲を作品に囲まれ、アーティストの世界観に浸かれるギャラリーの感覚は独特だ。リアルな体験ほどとは言えないかもしれないが、GALLERIST IIIDはオンラインでギャラリーを再現し、アーティストが個別の作品だけでなく、自らが表現しようとする世界観ごと伝えるためのひとつの手段となりうるかもしれない。
GALLERIST IIIDでギャラリーを公開するライセンスの費用は月額5500円。ライセンス契約は自動更新で、契約をキャンセルするとギャラリーは非公開になる。観覧者に利用料はかからない。