3Dインテリアコーディネートサービス「KAREN(カレン)」を運営するKARENは2月26日、リブランディングを実施し、サービス名は「COSIC(コシック)」、社名はコシックへと変更したことを明かした。
そしてコシックは同日、日本最大級の家具、インテリア通販サイト「FLYMEe(フライミー)」を運営するフライミーと資本業務提携を締結したことも併せて発表。フライミーを引受先とした第三者割当増資により、総額7000万円の資金を調達した。
2018年7月に設立されたコシックのミッションは、「家が世界一好きな場所になり、自分らしく幸せに生きる人を増やす」こと。代表取締役の武藤諒俊氏はリクルート、btraxの出身(詳しくはmasumi ohsakiによる記事を是非)。趣味は物件探し。9年で8回も引越しをするほどの物件マニアだ。「大学の頃からホームズやSUUMOをずーっと見ていた」という。そんな同氏は「引越し先に(持っていた家具が)合わない」というペインを経験し、3Dインテリアコーディネートサービスを開発するに至った。
「(家具が合わず)住みにくくなってしまうということが多かった。そのため、カフェに入り浸っていた。だが、本当だったら家でまったりしたり、仕事ができたほうが良い」(武藤氏)
COSICの最大の特徴は、採用率5%の選考に選ばれたプロフェッショナルが3Dイメージでコーディネートを提案すること。レコメンドにより「考える」、「探す」といった手間を省き、リアルな3Dイメージによって「試す」ことが可能。
サービスの利用料金は1部屋当たり7980円。手持ちの家具をコーディネートに2点まで追加可能、1回の「お直し」に対応でき、データ入力が完了してから最長で12日営業日ほどで提案が届く。そして、通常の5%から30%オフのCOSIC特別価格で家具を購入できる。
「インテリアを買いたい時に、悩まず、探さず、コーディネートが購入までできるサービスとなっている」(武藤氏)
メインのユーザー層は、30代で子持ちの主婦、そして20から30代の独身男性。
主婦は子供のおもちゃなどがキチンと収納でき、かつお洒落なコーディネート。独身男性はセンスに自信がなく忙しいため、映える(要するにモテる)部屋にしたいと考えていることが多いそうだ。
COSICの他にも家具のコーディネートサービスはある。だが、例えば大手家具ブランドが提供するものは、そのブランドの家具のみを使用したコーディネートサービスとなってしまう。1つのブランドで納得のいくコーディネートを組むのは難しいだろうし、家具を「まとめ売り」するためのサービスに見えがちとも言える。家具が部屋には大きすぎたり、世界観にマッチしなかったり、ということも起こりうる。
そんな中、COSICではフライミーとの資本業務提携により、商品の幅をかなり広げることに成功した。FLYMEeは500以上のブランドを取り扱う、家具、インテリアの通販サイトだ。同サイトで取り揃えている約2万点の商品、そしてフライミーの法人営業部が取り扱う「EC サイト掲載外」の数十万点の商品が、COSICが元々用意していた2万点に加わった。
他のコーディネートサービスやコーディネートサービスを提供しているサブスク系のサービスがある中、品揃えの多さは、COSICにとって大きな強みとなると武藤氏は説明する。
「ユーザーにとって、多い選択肢の中から絞り込まれた(家具を使った)コーディネートのほうが納得感は強い」(武藤氏)
武藤氏いわく、COSICでは「家具を売るところでかなりマネタイズをしている」。「そこに対する体制構築をどうするのか、というのは事業課題としてあった。そのためには、自社でECの体制を作る、もしくはどこかECの会社と一緒にやる、という選択肢があった」(武藤氏)。
武藤氏が言うには、インテリア×ITという領域の経営者には、自身のように「意思決定の中に美しさやセンス、感性を含めている人物」は少ない。だが、フライミー代表取締役社長の坂本如矢氏と偶然、出会った際には、「感性」を重視している点で意気投合した。もともと積極的に提携先を探していたわけではなかったが、資本業務提携を締結するまでに至った。
コシックでは2020年中にキャッシュフローを黒転させることを目指している。調達した資金7000万円はPM、デザイナー、エンジニアなどの採用、そして、これまではSNSや口コミに頼っていたが、「再現性を持った集客を検討」(武藤氏)しているため、マーケティングに使う予定だ。同社は2019年3月、個人投資家でエウレカ創業者の赤坂優氏、西川順氏、Fablic創業者のtakejune氏から、数千万円規模の資金調達を実施したと発表した。