先週、私はForm LabsのForm 1 3Dプリンターをテストする機会に恵まれた。これは3Dプリンターの進む方向をはっきり示す未来的プロダクトだった。一言でいえばForm 1は今まで私が見た中でももっとも使いやすくもっとも高性能のプリンタだ。もちろん改良の余地はあるが、評判どおりの(そして高価格に見合う)性能といってよいだろう。
Form 1はステレオリソグラフィー方式〔Form 1はこの図とは上下が逆のメカニズム〕の3Dプリンタだ。この点は非常に重要だ。われわれに馴染みがある3DプリンタはMakerbotのような細い素材フィラメントをノズルから押し出して対象を整形する方式だ。これに対してForm 1は金属プラットフォームを感光性レジンの液体素材に浸し、表面をレーザー光でスキャンすることによって液体を固化させて整形する。一層が固化すると金属プラットフォームをその分だけ上昇させ次の層を固化させる。こうしてレジンの層を重ねていくわけだ。Makerbotとは逆にForm 1の出力物は上から下に成層されていく。
Form 1の出力物はインジェクション・モールドで作られたように見える。各レイヤーの厚さは25μm(0.025mm)と極めて薄いので表面は滑らかでエッジは鋭い。素材は市販のオモチャなどに使われるぐらいの強さがある。
しかしForm 1はオモチャの製造機ではない。実験室レベルの精度を持つ極めて強力なマシンだ。まだ開発途上なので操作やメンテナンスではときおり不具合に遭遇する可能性がある。使いこなせるのはおそらく16歳以上だろう。
オブジェクトの出力のためにはまずPreFormというアプリを使ってSTLフォーマットのファイルをForm 1に転送する必要がある。このプログラムは現在はWindows版のみだが、OS X版が開発中だという。
高精細度で出力すれば時間はそれだけ長くかかる。下の写真の右側の高さ5センチぐらいの透明なチェスの駒(ルーク)を出力するのに6時間かかった。インドの天女、アプサラの像の場合は4時間20分だった。さいわいこのプリンタはほとんど無音で作動する。精細度を落とせば出力時間は大幅に短縮される。
ここで強調しておきたいのは、この写真の出力オブジェクトは文字通りマシンから取り出したままだという点だ。オブジェククトを位置決めするための小さなサポートが接続されていた跡もそのままに残してある。この突起は簡単に折り取ることができる。
感光性レジンは1壜1リットルあたり149ドルで、現在は透明のみ入手可能だ。Form Labはオブジェクト出力後に加熱して中身を溶かし、プラスチックなどの射出成形に使えるモールドを出力できるようにしようと実験を重ねている。
3299ドルというForm 1の価格は安いとはいえない。しかし個人に手が届かないほど高いわけではない。Makerbot Replicator 2は2200ドルくらいだ。用いられているテクノロジーと成果物の精度を考えると当然予想される程度の価格差といってよいだろう。
いくつかスペックを確認しておくと、出力物の高さは余裕があるが幅は狭い。最大サイズは4.9 x 4.9 x 6.5インチ(12.5 x 12.5 x 16.5 cm)だ。Makerbotは 11.2 x 6.0 x 6.1(28.5 x 15.2 x 15.5 cm)だ。これより大きいサイズのオブジェクトが必要な場合は分割出力して後で組立ないし接着することになる。
第2に、Form 1では出力の際にオブジェクトを正確な位置に固定するための多数の支柱が必要になる点に注意が必要だ。下の写真で分かるように、elow,these prints of 私の胸像の表面には小さな突起が多数見られる。この支柱は簡単に折り取り、切り取ることができる。そのため若干の仕上げ工程が必要になる。
最後に、成果物は出力が終了してからさらに10分程度イソプロピル・アルコールに浸す養生が必要だ。これはさしたる手間ではないが、熱を発する装置の近くに大量のイソプロピル・アルコールを置いておくことには(特に学校などでは)やや不安を感じるかもしれない。
3Dプリント・テクノロジーはまだまったくの発生期にある。Form 1はステレオリソグラフィー・テクノロジーを採用することでこれまでのホビー的なマシンから3Dプリンティングを大きく前進させた。Form1はすぐに産業用3Dプリンタに取って代わるわけではないが、Shapewaysのような出力サービスに迫る品質の出力を得られる。
私は3Dプリンティングにかなり経験を積んでいるが、Form 1は圧倒的に優れたマシンであり、プリンター性能、レジン素材、それらの価格などを総合的に考慮して投資に見合う価値があることは保証できる。大量のイソプロピル・アルコールを必要とする点に監督者の注意が必要だが、教育目的での利用にも理想的だろう。
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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+)