500 StartupsのファウンダーでパートナーであるDave McClureは、彼の投資会社を世界最大のベンチャーキャピタルにしたいと話した。500 Startupsは、1000 Startupsと呼べるほどになり、500 Startupsでなくなったことに戸惑っていると言った。
他の投資家がこのようなことを言ったとしても思い上がりにしか取られないが、McClureにとっては、これ以上ないシンプルな定義のようだ。「私たちは次の5年で世界最大のベンチャーキャピタルになる予定です」と彼は、TechCrunchのMike ButcherにDisrupt NYで明言した。「スケールできるビジネスに投資することがVCの事業の全てなのですが、VC業界に関してはそのようになっていないことが驚きです」。
500 Startupsは確かにスケールしている。この5年間で、McClureの会社は、アーリーステージのアクセラレータープログラムから、幅広い投資を行う成熟したベンチャー投資会社に成長した。今では1億7000万ドルの資産を、3つの主要ファンドと6つのマイクロファンドで管理している。
資金は50名の優秀なスタッフが運用している。その内の半数が女性だ。彼らは20の言語をカバーしていて、国連並に多国籍だ。これは大げさな話ではない。McClureは、年内にスタッフを70名ほどにしたいと話した。
500 Startupsは、過去5年間で1億ドルの資金を、50カ国に散らばる1000社に投資してきた。
この企業(そう、彼らは企業になった)には、18のアクセラレータープログラムがあり、400名以上がそこから卒業していった。
投資活動の結果、10億ドル以上の評価を得た「ユニコーン企業」を2社と25社の「ケンタウルス企業」を輩出した。ケンタウルス企業とは、およそ1億ドル規模のエグジットを達成した企業を指すMcClureの言葉だ。
1000社のポートフォリオの中の300社は、アメリカ外の企業に対して行われたものだった。アジアやラテンアメリカが多く、200社への投資が行われた。ヨーロッパと中東地域の企業への投資は100社だ。
McClureは自社の戦略に対して強い自信を見せる一方で、生き延びる企業の数に対しては現実を直視している。500 Startupsのポートフォリオの内300社は、既に息絶えているか、それに近い状態だが、他の300社は堅実なエグジットが可能であるとMcClureは話した。ポートフォリオの15%はエグジット、そしてもう15%は大規模なエグジットが見込めるとした。「この数字に対し、とても満足しています」とMcClureは言った。
成功のために祈るのではなく、分散しています。私たちの奔放さには、理論があります。
彼らに投資する有限責任組合(LP)は、500 Startupsのこの成功率に対して懸念を抱いていないようだ。彼らは、500 Startupsの新興市場への更なる投資に止めどなく出資している。昨年だけでも500 Startupsは、タイと韓国に向けた、1億ドルの出資を募り、3つ目となる新たな主要ファンドをローンチした。
「成功のために祈るのではなく、分散しています」とMcClureは自社の投資方針について話した。「私たちの奔放さには、理論があります」。New Yorkの有力資産マネージャーの間でトレンドにもなっているように、ベンチャーキャピタルにとっても多角化が重要だと説明した。
多角化は、ただ1000社の企業に投資すれば良いのではない。500 Startupsにとって、性別、国籍、地域を考慮した上で多角化を進めることが、最も重要であると話した。
「全世界規模の国際的な投資機会をとても前向きに考えています」とMcClureは言い、アジア、アフリカ、中東、ヨーロッパで更なる投資機会を探しているとした。
McClureにとって、多様な国の起業家に投資することは、社会正義のためではないそうだ。「社会的なミッションを追求するためではありません」と彼は言い、「私は異常なほど欲張りなだけです」と続けた。
同社の国際的な投資への姿勢は、女性や少数派の人たちへの投資と同じ理念から行っているとMcClureは説明した。「そこに他の誰もが見逃している、過小評価された資産があると考えています」。
社会的なミッションを追求するためではありません。私は異常なほど欲張りなだけです。
新興市場でのモバイルの普及率、発展途上国の経済の急成長を観察したMcClureは一つの考えに行き着いたという。アメリカ国外の起業家にいくら資金を投資しても足りないということだ。「スマートフォンの普及率、そしてクレジットカードの利用率が30%から50%になろうとしている場所では、投資機会が多すぎて、資金が全く足りません」とMcClureは言う。
「アメリカのベンチャーキャピタリストは近眼になっていて、シリコンバレーやニューヨークから外に出ていこうとしません」とMcClureは言った。
アメリカ国内を見ると、新興市場ほどモバイルeコマース分野でのイノベーションが進んでいない。また、500 Statupsの2社のユニコーン企業、TwilioとCredit Karmaはアメリカを拠点としているが、シンガポール発のGrabTaxiも 直にユニコーンクラブに名を連ねることができそうだ 。既に入っていないのがおかしいほどだ。
「未来の地図を想像して逆算しているなら、馬鹿を見ることになるでしょう」とMcClureは言う。歴史的に見ても、5年から10年後の将来、テクノロジーの中心地は同じ所に留まっていないはずだからだ。「例えば、北京がシリコンバレーより大きくなっていても全く不思議ではないのです」とMcClureは話した。
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