Photoshopのような複雑なアプリケーションを動かすことができないので、GoogleのChromebookは実用的ではないという意見もあった。しかし、これからは非実用性を訴えるのには、別の例を探す必要がある。そう、PhotoshopがChrome OSおよびChrome for Windows上で動作するようになったのだ(まずは米国内の教育機関向けサブスクリプションに登録している利用者向け)。
まずはAdobeの教育機関向けCreative Cloudに登録している人に向けての提供となる。プロダクトのベータテストとしての役割も持つわけだ。サービスの一般提供開始がいつになるのかはまだ明らかになっていない。来週にはMAXカンファレンスが開かれ、これは発表の舞台としてはふさわしいものではある。但し、そこで一般公開となると、ベータテスト期間があまりに短いものとなってしまう。Adobeは今のところ、教育機関向けサービスの利用者は、少なくとも6ヶ月間はストリーミング版Photoshopを提供するとしている。
Adobeによると、提供するストリーミング版はPhotoshopの機能をほぼすべて備えたものであるとのこと。ネットワーク上で動作するため、ローカルデバイスへのインストールなどは一切必要ない。また、ファイル操作はすべてGoogle Driveを使って行われることになる。GPUを使った機能と、印刷機能については省かれている。
現在流通しているPCおよびChromebookであれば、このPhotoshopを動作させることができるそうだ。ただし回線速度は5Mbps以上を推奨するとのこと。ダイアルアップではさすがに使えないようだ。利用中に接続が切れてしまったような場合、Google Driveのリカバリフォルダに最終段階のものが保存されるようになっている。
今年になって、AdobeはPhotoshopの一部機能を利用できるようにするCreative SDKをモバイル開発者向けに提供開始していた。しかし今回実現されたストリーミング版Photoshopは、そのSDKを用いたものとは全く別モノだ。Adobeがアプリケーションの配布手段としてだけでなくクラウドを使ったサービスに広く取り組んでいることの証と捉えることもできよう。今後は、ストリーミング版に以前買収したAviaryの技術を統合してくることになるのかもしれない。
ストリーミング版を、まずPhotoshopから始めたのは当然のことと言えるだろう。フル機能のビデオ編集アプリケーションをストリーミング可するというのは現実的ではないかもしれない。しかしDreamweaverや、あるいはIllustratorなどであればストリーミング可もできよう。但し、利用者数でみればPhotoshopよりはるかに少なく、マーケットの反応を十分に得ることができにくいわけだ。
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(翻訳:Maeda, H)