ここ2年ほどは、Adobe関連のニュースといえばCreative Cloudの話ばっかりだったから、Acrobatを軸とするでっかいドキュメントビジネスのことは忘れられがちだった。しかし今日は、Document Cloudのローンチによって、そのビジネスにまた新たな光が当たろうとしている。
その主役であるAcrobat DCは、デスクトップとWebとモバイルのAcrobatのニューバージョンで、それにはAdobe EchoSignによる無料の電子署名ツールや、画像処理、OCRなどの技術も含まれる。
また新たにローンチされるモバイルアプリFill and Sign(記入して署名する)や、粒度の細かいパーミッション管理とサードパーティの統合などの高度な機能を持つ、新しいAcrobatエンタプライズソリューションも提供される。
これらの新しいツールのローンチは30日後で、今毎月14ドル99セントを払っているAcrobat Cloudのユーザは即利用できる。また、Acrobat DCの終身ライセンスも提供される。
Adobeによると、昨年だけでも500億あまりのPDFがオープンされた。モバイルバージョンのAcrobat readerは一日あたり40万回ダウンロードされ、EchoSignは1億以上の契約書を処理した。しかしそれでも、署名が必要という理由だけのために、ドキュメントを印刷するユーザがまだとても多いそうだ。
Adobeのマーケティング担当VP Mark Grilliによると、ドキュメント関連のプロセスの80%近くは、必ず紙に依存している部分がある。この“最後の1マイル”問題を解決するためにAdobeは、Creative Cloudで学んだことをドキュメントに応用することにした。
その基本的な考え方は、いろんなプラットホーム上の体験を統一化し、それらを電子署名でくくる、というものだ。
AdobeのシニアプロダクトマーケティングマネージャLisa Croftが、こんなデモを見せてくれた: 署名が必要な紙のドキュメントがある。新しいSignとFillアプリを使ってそのドキュメントの写真を撮る。TurboScanのようなモバイルアプリであるこのアプリは、ドキュメントの縁(へり)を自動的に認識し、汚れを取り、ライティングも正しくするなどして、きれいなデジタルフォームを作る。そのフォームに記入したら電子署名をしてメールで送り返す(たとえば先生に)。名前、住所、誕生日などなどのデータは、どのフォームにも自動的に入る。Fill and Signはこのデータを保存し、すばやく紙のフォームに加えることもできる。
Acrobatの新しいモバイルアプリにも、これらの機能はあるが、Fill and Signの方が多芸だ。フォームをスキャンしてからWebへ行き、そこで記入してもよい。もっと気の利いた機能は、AcrobatがそのOCRソフトをフォーム中のテキストに対して走らせて、エディットできる紙のドキュメントを再び作り、清書や編集ができることだ。その際、似たようなフォントをAdobeのライブラリから探す。まあ、紙のときとほとんど同じドキュメントができる、と考えてよいだろう(元々ドキュメントの印刷に使われているフォントは限られているから)。
iOSとAndroidで使えるモバイルアプリはデスクトップのアプリケーションとほとんど同じ機能だが、校訂機能などはデスクトップにしかない。Grilliによると、長期的にはFill and SignとAcrobat Mobileは一つのアプリへ統合される。
現状のAcrobat DCでは、ドキュメントの保存にはAdobe独自のストレージとMicrosoft Sharepointが使われる。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)