Adobe(アドビ)は、Sensei AIプラットフォームに大きく賭けている。そのため、同社が主力製品のPhotoshopに、AIを活用した機能を組み込み続けているのは当然だ。アドビは米国時間10月20日、主催するMAXカンファレンスで、Photoshop用のいくつかの新しいAI機能を発表した。最もわかりやすい例は、スカイリプレースメント(空の置換)だ。既存の機能を改善したりや写真編集ワークフローの簡素化を行う他のツールに加えて、その他の新しいAI利用機能として、次世代のPhotoshopフィルターの基本となる、新しいいわゆる「Neural Filter(ニューラルフィルター)」や、画像の選択部分に適用できる新規または改善されたツールが登場した。
スカイリプレースメントを提供するツールはPhotoshopが初ではない。例えばLuminar(ルミナー)はすでに1年以上前からその機能を提供しているが、アドビはこの機能を正しく動作させるために時間をかけたようだ。アイデア自体は非常に単純だ。Photoshopが画像内の空を自動的に認識して、それを自分が選択した空に置き換えることができるようになったのだ。空の色はシーン全体にも影響を与えるため、もちろん奇妙な画像になることがある、そこでアドビのAIが、それに応じて画像の残りの部分の色も調整するのだ。
Photoshopには25種類の空の画像が用意されているが、自分で用意した空を使うこともできる。
ニューラルフィルターは、このリリースのもう1つのハイライトだ。例えばポートレートを改善したり、画像の背景色をすばやく置き換えたりするための、新しい芸術的で修復的なフィルターを提供する。このポートレート機能はすぐに使われることになるだろう。人々が見ている方向を変えたり、光源の角度を変更したり、「髪の毛の太さや微笑みの強さを変更したり、驚きや怒りを追加したり、または見かけの年齢を上下させたり」することができる。これらのいくつかは他のものよりも少々ギミックっぽいが、アドビは微妙な変更を加えるのに最適だと述べている。まあいずれにせよ、こうした変更を行うには通常多くの手作業が必要だが、これからはクリックを1、2回すればよくなったのだ。
他の楽しい新しいフィルターの中には、スタイル転送ツールや、白黒画像の色付けに役立つフィルターがある。より便利な新しいフィルターとしては、JPEGの圧縮アーティファクトを削除する機能が含まれている。
アドビ自身も触れているように、同社はこれらのニューラルフィルターに関してNVIDIAと協力した。ニューラルフィルターはPhotoshop 22.0を実行しているすべてのデバイスで動作するが、グラフィックアクセラレーションが組み込まれたマシンで使用することによって、真のパフォーマンス向上のメリットを得ることができる。もっともこれらの多くが、どれほど計算集約的であるかを考えると、驚きはない。
改善されたオブジェクト選択機能は、スカイリプレースメントや新しいフィルターほど派手ではないかもしれないが、アドビがいうところの「インテリジェントなエッジのリファイン」機能が、まさに写真編集者の正気を保ってくれるだろう。Photoshopの現在のツールを使用して、特に複雑な背景に対して、複雑なヘアスタイルの人や動物を選択しようとしたことがある人は、どれだけの手作業が必要かを知っているだろう。これがいまや新しい「Refine Hair(リファインヘア)」と「Object Aware Refine Mode(オブジェクトアウェアリファインモード)」により、そうした手作業の多くは不要になるはずだ。
その他のPhotoshopの新機能には、パターンを作成するための新しいツール、検索機能が改善された新しいDiscover(ディスカバー)パネル、ヘルプとコンテキストアクション、より高速なプラグインなどがある。
また、すべてのCreative Cloudアプリ用のプラグインマーケットプレイスが新しくなり、開発者がプラグインを簡単に販売できるようになる。
カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Adobe、Adobe Photoshop
画像クレジット:Adobe
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(翻訳:sako)