AIが自動で動画内の顔やナンバープレートにぼかし加工し匿名化、プライバシーを保護するビデオツールのPimlocが約8.7億円調達

英国のコンピュータービジョン関連のスタートアップであるPimloc(ピムロク)は、動画の匿名化を迅速に行うAIサービスを販売するために、顔やナンバープレートのぼかしを自動化したり、その他の一連のビジュアル検索サービスを提供したりするなど、事業内容を強化してきた。同社は今回、新たに750万ドル(約8億7000万円)のシード資金を調達したと発表。このラウンドはZetta Venture Partners(ゼッタ・ベンチャー・パートナーズ)が主導し、既存投資家のAmadeus Capital Partners(アマデウス・キャピタル・パートナーズ)とSpeedinvest(スピードインベスト)が参加した。

このスタートアップ企業は、2020年10月にも180万ドル(約2億1000万円)のシード資金を調達しているが、今回の資金は欧州と米国での事業拡大と、データ法制の広がりや生体認証のプライバシーリスクに関する世論の高まりへの対応に使用されるという。後者に関しては、一例として顔認識技術のClearview AI(クリアビューAI)に対するプライバシー面からの反発などを挙げている。

Pimlocは営業、マーケティング、研究開発チームを強化するとともに、動画のプライバシーとコンプライアンスに焦点を当てた製品ロードマップの拡大のために、この資金を投じると述べている。

同社が狙うビジネスニーズは、小売業、倉庫業、工場などの業界で、安全性や効率性を高めるためにビジュアルAIの利用が拡大していることに焦点を当てている。

しかし、AIを活用した職場の監視ツールの増加は、労働者のプライバシーリスクを生み、リモートでの生体認証を導入する企業にとっては、これが法的リスクや風評被害の原因となる可能性がある。

そこでPimlocは、AIがプライバシーのために機能する第三の方法を提案している。それは「生産効率を高めるために使われるビジュアルデータを匿名化し、労働者のプライバシーを優先するために役立てる」というものだ。これについて、企業と協議しているという。

Pimlocによると、同社の「Secure Redact(セキュア・リダクト)」は、SaaSとしてまたはAPIやコンテナを介して販売されており、現地のビデオワークフローやシステムに統合することができる。この製品は、データプライバシー規制(欧州の一般データ保護規則やカリフォルニア州の消費者プライバシー法など)に準拠したビデオ証拠を提供しなければならない団体で、すでに使用されているという。

Pimlocは、顧客数を明らかにしなかったものの、CEOのSimon Randall(サイモン・ランドール)氏はTechCrunchに次のように語った。「欧州と米国を中心に輸送、製造、教育、健康、自動走行車、施設管理、法執行機関など、さまざまな分野で多くのユーザーにご利用いただいています。興味深いのは、そのすべてが同じニーズを持っているということです。つまり、CCTVでも、ダッシュボードでも、装着式カメラの映像でも、いずれもデータプライバシーやコンプライアンスのために映像の匿名化を必要としているのです」。

画像クレジット:Pimloc

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

投稿者:

TechCrunch Japan

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