AIソングコンテスト優勝者の容赦なく楽観的な楽曲に注目

「Beautiful the World」という曲では、全体の3分の2(2分30秒)くらいのところで「The music of the Earth has arrived」(地球の音楽がやって来た)というささやきが聞こえてくる。Uncanny Valley(不気味の谷)というチームが作ったこの3分半の曲は「Dreams Still Live in the Wings of Happiness」(幸福の翼で夢は今も生きている)といった理解しやすく心に訴えるフレーズをちりばめ、ひたすらに楽観的な断片をリスナーに浴びせかける。

ロボットが作ったような曲に聞こえるが、それは間違いではない。新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で「Eurovision Song Contest」(欧州放送連合加盟放送局によって開催される毎年恒例の音楽コンテスト)が中止になったことで世界中の人々の心に穴を空けたが、この曲はその穴を埋めるためにオランダの放送局VPROが開催した第1回「Eurovision AI」の優勝曲だ。

このAIソングコンテストはEurovisionの公式イベントではないが、家にこもっている世界中の多くの人から注目された。13カ国から参加したチームが競い、1万2000票ほどの投票の結果、オーストラリアのUncanny Valleyチームが優勝を勝ち取った。

Uncanny Valleyの優勝曲は、過去の多くのEurovision受賞作品と、コアラやタスマニアデビル、ワライカワセミといったオーストラリアの生き物のオーディオサンプルを組み合わせた機械学習で作られた。オーストラリアの生き物を使うのは、不朽の名作と言われるMen At Workの「Down Under」に間接的にインスパイアされたことでもある。オーストラリアの野生の生き物が大規模な森林火災で長期にわたり厳しい状況に置かれたことを表している。

BBCによれば、AIの専門家である審査員たちもUncanny Valleyを高く評価したが、最終的にはドイツのDadabotsの作品を支持した。「It couldn’t be done, I’m committed to band Sherman / that one」(そんなことはできなかった。バンドShermanに専念していた、そう、あの)といった歌詞の曲で、このチームが第2位になった。

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(翻訳:Kaori Koyama)

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TechCrunch Japan

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