Alibabaが2016年度Q2に記録的な成長を遂げた。同時期に、中国の小売マーケットプレイスが急成長し、モバイルユーザーの売上が初めてデスクトップユーザーを上回ったのだ。
売上額は前年同期比で59%増となる322億元(48億ドル)に達し、これはアメリカ史上最大となった2014年9月のAlibabaのIPO以来最高となる成長率だ。
中国経済の減速が噂される中、Alibabaの中国ビジネスにはその影響がなかったようだ。同社の中国におけるマーケットプレイスでの売上は、前年同期比49%増の234億元(35億ドル)を記録している。このうち75%にあたる175億元(26億ドル)の売上はモバイルデバイス経由で発生しており、昨年度から119%の伸びを見せた。
Alibabaの中国でのマーケットプレイスは昨年の時点で既にモバイル売上がデスクトップを上回っていたが、この度モバイルユーザーの平均売上額がデスクトップユーザーを超え、ついに同社の成長源がビジネス全体でモバイルにシフトすることとなった。IPO以前、モバイルへの移行は投資家にとって大きな不安材料であったが、Alibabaの経営陣もこの移行スピードには驚きを隠せなかった。
売上額の増加は間違いなくAlibabaの経営陣にとってのハイライトである一方、昨年発生したAlibaba Pictures関連会社からの一過性収益の影響で、純利益は前年同期比で76%減少し71億4200万元(11億ドル)となった。その他の指標については、同時期に非GAAPベースの純利益が28%増、営業利益が71%増と素晴らしい実績を残している。
主要事業以外では、Alibabaはこれまでクラウドコンピューティングにそのリソースを費やしてきた。そしてAlicloudは、前年同期比で2倍以上となる12億元(1億8100万ドル)の売上と、57万7000人の有料会員数を記録している。
しかし、Alicloudのビジネスは未だ発展途上にある。同社の営業損失は4億39000万元(6600万ドル)へと改善しており、AlibabaのヴァイスプレジデントであるJoe Tsaiは、アナリストとの電話でAlicloudが「損益分岐点に向けて前進している」と語った。
Alibabaはこれまで財務諸表の分かりにくさを非難されており、証券取引員会は、Alibaba関連の物流企業Cainaoや、O2Oプラットフォームを運営するKoubei、ビデオプラットフォームのYouku Tudou、ペイメントプラットフォームのAnt Financialなどの会計処理に関する調査を行っている。
それに応えるように、Alibabaは財務に関する情報量を増やし、デジタルメディアやクラウドコンピューティング、フードデリバリーなどの売上や損益を含む情報を初めて公開した。
今の時点では下記の表の通り赤字であるものの、Alibabaはこれらの関連会社が将来的にコアビジネスを支えるような存在になると信じている。
さらにAlibabaは、新たに大きな賭けを新興市場で行おうとしている。
同社は今年に入ってから、Rocket Internetの投資先でもある東南アジアのEC企業Lazadaに対して10億ドルを投資し、インドではモバイルウォレットやEC事業を運営するPaytmや、EC界のユニコーンのSnapdealに出資している。
「私たちは、5億人もの現地顧客候補が存在する東南アジア市場でサービスを提供しようとしています。東南アジアは今後私たちにとって極めて重要な市場になってくるでしょう」とTsaiは語った。
さらにインドに「戦略上とても重要なアセットを配置することを決め、今後はモバイルと決済サービスがインド市場でのAlibabaにとって重要になってくると考えています」と彼は付け加えた。
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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter)