Googleは大きくなりすぎた。検索エンジンからロボット、更には延命テクノロジーまで、全ての事業を多くのマネージャーによるヒエラルキーで治めようとした。あまりに複雑なヒエラルキーは、優秀な人材の気力を削いでいた。そこで彼らは、Alphabetという名の親会社を新設し、大企業を解体して治めることにした。 Googleが自分の大きさに耐えられなくなるのを防ぐことにつながるだろう。
Googleは今日、これからGoogleの名称は彼らの中核ビジネスだけを指すと明言した。他の関連性の薄いプロジェクト、例えばLife Sciences(グルコースを測定するコンタクトレンズ)や Calico(延命テクノロジー)は、Googleの新しいAlphabetと呼ぶコングロマリット内で独立し、Googleと横並びの存在となる。
このようにした理由は声明の中で分散して説明していた。
- 「会社の運営は上手くいっていますが、これまで以上に整え、信頼の置ける形式にすることができると考えています。」
- 「新しい構造により、Google内にある多くの可能性にそれぞれ注力することができるようになります。」
- 「あまり関連性のない事業を個別に運営することがマネジメントのスケールにつながると考えています。」
- 「Alphabetの設立は、強いリーダーと独立した運営によりビジネスを繁栄させることが目的です。私たちのこのモデルには各ビジネスを運営する強いCEOが必要です。Sergeyと私は、必要な時に手助けをします。」
これはGoogleが抱える人材獲得の問題への彼らの解答だ。
Googleがこれまで行おうとしていたソリューションを正式な形で実行した。中核ビジネスの従業員が組織の官僚制による遅い意思決定や決定権を持つ人があまりに多いプロジェクトに不満を抱えた場合、Googleは彼らのために他の関連企業内で働く場所を探してきた。検索エンジンのプロダクトデザイナーはYouTubeに行ったり、マネージャーであればGoogle VenturesやGoogle Capitalに行ったり、科学者ならロボット開発に異動したりしていた。
しかし、ここ数年間で人材獲得の競争は厳しさを増した。Facebookのような巨大企業は研究機関に変貌しつつある。ユニコーン企業は、多額の経済的な報酬とリーダーのポジションを提供している。そしてアーリーステージへの投資額は豊富にあり、自分の会社を立ち上げるのが容易になった。
結果、Googleは最高の人材の獲得に失敗してきた。スーパースターを失い、人材を引き留めるために支払うボーナスも少なかった。会社は問題なく回っているが、彼らが持つ素晴らしい発明を形にしたり、業界トップのビジネスを継続的に成長させるためには、できるだけ多くの優秀な人材を獲得する必要がある。
Alphabetは、Googleのスーパースターが個別の事業を治めるのに効率的な方法だ。何かのシニア・バイス・プレジデントや、何かの「ヘッド」ではなく、彼らはCEOとなり、その役職に見合う権限を得る。これらの領主がそれぞれの事業を治め、王座Alphabetに提供する資金と引き換えに必要な助けを得られる。
Game of Thronesのドラマのように聞こえてきたなら、正しくその通りだ。巨大な帝国を一族で治めるのではなく、Googleは帝国をいくつかの領土に分けた。Google内でも特に価値の高い戦士を領主に据えることで、王座への忠誠を保てるだろう。
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