都市部のテクノロジー開発を手がけるAlphabet傘下のSidewalk Labsはいま、スマートシティのためのサイネージを新たに作り直そうとしている。そうしたサインは交通の流れを管理したり、都市部のランドマークまでの道を案内したりするためのものではない。市民がモニターされているとき、その事実を市民に知らせるようデザインされている。
この計画は、ニューヨークやトロントで導入されようとしているテクノロジーに人々が慣れることを推進しようとする試みの一環だ。
世界的にみると、センサーやデータ管理、予測テクノロジーを都市で展開する契約の入札は、数十億ドルとまではいかなくても何千万ドルという額になり、Sidewalk Labsはこのことをよく知っている。Sidewalk Labsのプロジェクトは最も野心的なスマートシティ向けのセンサーネットワークテクノロジー展開で、同社はまた激しい批判に直面してきた。
ゆえに、少なくとも部分的に批判を和らげる試みとして、Sidewalk Labsは監視やモニターをより透明性のあるものにすることを提案してる。
「デジタルテクノロジーは常に我々の周りにあるが、それらは往々にして目に見えない。都市部で移動するとき(通勤とか)、あなたはCCTVや交通カメラ、乗り換えカードリーダー、自転車走行レーンのカウンター、Wi-Fiアクセスポイント、ドアを開けるセンサーなどを目にし、それらすべてを1つの街角で見るかもしれない」とSidewalk Labsで「パブリック部門アシスタントディレクター」の肩書きを持つJacqueline Luは書いている。
Luはまたテクノロジーが便利な一方で、そうしたテクノロジーが集めるデータをめぐっては、誰がデータを集めていて、そのデータが何の目的で集められるのかなど、透明性があまりないとも指摘する。
ボストンやロンドンのような都市ではすでに都市部でテクノロジーが使用される時を明確に示すようになっている。しかしSidewalk Labsは、テクノロジーが使われていることを市民によりわかりやすく示すサイネージシステムの構築に取り組むデザイナーや都市設計者を集めた。
2013年にさかのぼるが、米国の連邦取引委員会は、モバイルプライバシーの暴露を要求した時、そうしたタイプのインディケーターの開発を求めた。しかしそれは、複数の企業がかなりぼんやりとしている専門用語がたくさん盛り込まれた大量の下書きを書くだけに終わったようだ。
Sidewalkでのゴールは透明性だと同社が提案するプランの著者は語る。
「どのように、そしてなぜデータが集められて公共で使われるのかを人々は知っておくべきだ、と我々は固く信じている。そしてまた、デザインとテクノロジーはこうした理解を促進することができるとも信じている。そうした理由から、公共におけるデジタルの透明性とはどのようなものになるのかを想像するコラボプロジェクトに乗り出した」とLu氏と彼女の共同著者でデザイナー主任のPatrick Keenan氏、法務アソシエイトのChelsey Colbert氏は書いている。
例としてSidewalkは、同社のNuminaテクノロジーの存在を人々に喚起することになるかもしれないサイネージの考えられるデザインを紹介した。
エリア内での動きを追跡するためにデジタルレコーディングとアルゴリズム的に向上したソフトウェアを使用しているセンサーからのデータを記録し、分析し、そして送信することで、このテックは交通パターンをモニターする。こうしたセンサーは信号の支柱に搭載され、ワイヤレスでデータを送る。
何はともあれ、すでに公共スペースをモニターしている悪用を意図していないカメラほどひどいものにはならない(こうしたカメラは簡単に監視ツールに変えられる)。
六角形のデザインは、テクノロジーの目的、展開している企業、使用の理由、テックが極秘の情報を集めているかどうか、さらなる情報を得るためにスキャンできるQRコードを示している。
問題は、こうした公共での実験では、オプトアウトする簡単な方法がないことだ。Sidewalk Labsがトロントで進めているプロジェクトは仰天するようなデザインの妙技と、監視キャピタリズムの神聖視のどちらも含んでいる。公共スペースを民間部門に引き渡すという決定がなされれば、あるいはセキュリティのためのプライバシーを犠牲にするという決定がなされれば、それらを後に覆すのは難しい。今日のテクノロジーに関する最も顕著な問題であり、予想外の結果を伴うことも考えられる。
関わる組織がテクノロジー使用の結果を全体として考慮していなければ、テクノロジー展開についての情報は十分ではない、ということになる。
イメージクレジット: JuliarStudio / Getty Images
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(翻訳:Mizoguchi)